鉄鉱石の価格を巡る中国とオーストラリアの長引く対立が、両国間の貿易を脅かしかねない険悪な局面へと発展する恐れが出てきた。
この対立の新たな展開は、オーストラリア第3位の鉄鉱石企業フォーテスキューが22日に発表した第3四半期決算から明らかになった。主に中国に向けられる同社の鉄鉱石の第3四半期の出荷量は前年同期比11%減の4430万トンとなり、販売価格も同10%下落して1トン当たり79.79ドルとなった。出荷量の減少と価格の下落はフォーテスキューの株価にも影響を及ぼしている。同社の株価は22日、4.5%下落し14.57豪ドルとなり、年初来の下落率は34%に達した。
フォーテスキューは、推定159億ドル(約2兆5000億円)の資産を持つオーストラリア有数の富豪、アンドリュー・フォレストが率いている。フォレストは最近まで「中国の親しい友人」であると広く見なされていた。フォレストは自身の鉱山事業や再生可能エネルギー計画のために、中国製の産業機器を大量に購入する主要な顧客でもあった。
こうした緊密な関係があったにもかかわらず、中国が2022年に設立した国家直属の資源調達機関「中国鉱産資源集団(CMRG)」は、鉄鉱石を安価に調達しようとする動きの中で、フォーテスキューを標的にしている。BHPやリオティントといったオーストラリアの競合他社も、CMRGから価格引き下げの要求を受けている。だが、フォーテスキューが扱う鉄鉱石は一般的に品位が低く、価格も低めに設定されているため、同社は特に厳しい立場に置かれている。これにさらなる値下げが加われば、ただでさえ悪化しつつある同社の収益性を大きく損なう恐れがある。
フォーテスキュー・メタルズ・アンド・オペレーションズのディノ・オトラント最高経営責任者(CEO)は、オーストラリア証券取引所に提出した文書の中で、鉄鉱石の出荷量が減少したのは「CMRGとの継続的な交渉」の影響だと指摘した。同CEOは、フォーテスキューがCMRGとの対立の解決を図ろうとしていると説明した。
一方、豪紙オーストラリアン・フィナンシャルレビューは、同CEOが「中国側の買い手が提示した条件を、なす術なく受け入れるつもりはない」と明言したと伝えた。「当社は運転資本を有効活用するためのあらゆる機会を検討するつもりだが、鉱石を保管する場所が物理的になくなる限界点というものがある。その場合は、鉱石を採掘せず、地中にそのまま残しておくことも、われわれとしては全く構わない」。オトラントCEOの発言は、CMRGとの合意に至るまで、フォーテスキューが鉱石の採掘量を削減する可能性があることを示唆している。
オーストラリアン・フィナンシャルレビューは、フォーテスキューによる報復措置の可能性についても触れた。同紙の記者は、同社が鉱山で使用するバッテリー駆動のトラックや、再生可能エネルギー計画に導入予定の太陽光パネルについて、中国企業への発注を中止する可能性があると指摘した。さらに、フォーテスキューが中国製機器を購入する際に融資を受けている中国の銀行に対しても、何らかの影響が及ぶ恐れも示唆した。
鉄鉱石の価格を巡る対立が、双方にとって何の利益にもならない深刻な事態へと発展する前に、冷静な判断が下されることが期待される。



