1. 次の行動に移る前に、気持ちを落ち着けて、「嵐」を認める
キャリアが危機に瀕すると、すぐさま行動を起こさねば、という衝動で頭がいっぱいになるかもしれない。状況がまだ充分に理解できていないのに、怒りのメールを送りつけたい、すぐに仕事を辞めたい、説明を求めたい、と思うのだ。
そんな時はまず、自分が今体験していることを意識すべきだ。床についている足の感触を確かめ、呼吸が心地よいリズムを取り戻すまで待つ。現在ある感情を特定してみよう。怒り、屈辱、悲しみ、恐怖心、あるいはそれらが入り混じった感情を抱いているかもしれない。
例えば、「私は今、自分を守りたいという強い衝動に駆られていることを自覚している」と声に出して言ってみる。そうした行動で、意識に少しシフトが起こり、観察する対象ができる。焦燥感をまだ感じているかもしれないが、早急な反応が自分にとって良いのかどうかを判断できるようになる。
状況が許せば、メールの下書きを作成し、あとで見直してみよう。冷静な判断ができるようになるまで時間を置くべきだ。
2. 事実と、「クラウドマインドによる予測」を切り離す
クラウドマインドは、未完成の物語を嫌う。情報が欠けていると、心の中にある「予測したがる自分」が、情報を付け加え、結末を完成させようとするのだ。
しかし、脳裏に浮かぶのは多くの場合、最悪の事態だ。上司からの連絡が途絶えがちになると、解雇される日が近いに違いないと決めつける。顧客が離れると、事業が破綻してしまうと考える。面接がたった一度うまくいかなかっただけで、自分のキャリアが終わった証拠だと嘆く。
そんな時は、「自分が把握していること」と、「自分が予想していること」を、それぞれ短い文章にまとめてみるとよい。
「上司が会議を2つキャンセルした」は観察だ。「上司が自分を解雇しようとしている」は、クラウドマインドの視点に立った解釈にすぎず、証拠がさらに必要となる。そこで、スカイマインドの視点に立って、こう問いかけてみる。「この状況を評価する上で役立つ情報は何か」「合理的に考えて、今日できることとは何か」というように。
上司に対して「話がしたい」と申し入れるのも一案だ。自分の経済状況を確認したり、仕事でつながりのある人に連絡したりすることもできる。手に入る証拠をもとに、次の行動を決めるのだ。
3. 心の痛みを認めつつ、それで自分を定義しない
実際に仕事を失ったとしよう。その時には、心に深い傷を負う。その仕事に何年もかけて、感情的・知的・創造的なエネルギーを注ぎ込んできたのなら、なおさら傷は深い。収入が途絶えたり、1日のリズムや、同僚、慣れ親しんだ帰属感を失ったりするかもしれない。そうした喪失を認める。傷がまだ新しいうちは、その状況から教訓を得ようとしなくていい。
ただし、「自分の経験を描写する言葉」が、「自分を定義する言葉」へと変わった時は、注意が必要だ。例えば、「仕事を獲得できなかった」ことを「自分は失敗した」、「物事がうまくいかない」ことを「自分は無能だ」と言い換えてしまうことがある。しかし、スカイマインドの視点に立てば、もっと広い視野に立った表現になる。例えば、「キャリアでつらい思いをした。それでも、自分には能力と、人とのつながりがあり、可能性がある」と見るのだ。
感情には、向き合う価値がある。だからといって、その感情があなたという人間すべての物語になる必要はない。


