経営・戦略

2026.10.27 13:30

半導体バブルで最高益更新のオルガノ 超純水トップが挑む独自AI革命

山田正幸|オルガノ代表取締役社長 社長執行役員

山田正幸|オルガノ代表取締役社長 社長執行役員

Forbes JAPAN 2026年12月号は、AIで人的資本を拡張している「本当に強い会社」2026特集。今回、Forbes JAPANは東京証券取引所に上場している企業のうち、分析に必要なデータを取得できた3,531社を対象に、AIを自社の売上高や利益に結びつける「実装力」を評価する「拡張人的資本ランキング」と、AIやDXへの投資が将来の収益化につながる可能性の高さを評価する「AI/DX先行投資力ランキング」を作成した。AI時代に、「本当に強い会社」とは、どんな企業なのか。上位企業を率いる経営者たちの言葉と具体的な取り組みから、その条件を解き明かす。

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半導体の製造に欠かせない「超純水」の市場でトップシェアを誇るオルガノ。「技術伝承AI」で業務改革に取り組むなか、見えてきた新たな課題とは。


半導体の製造に欠かせないものがある。水だ。しかも、ただの水ではない。不純物を極限まで除去し、理論上のH2Oに限りなく近づけた「超純水」である。

半導体の製造プロセスは数多くの工程からなるが、そのうち洗浄工程が占める割合はおよそ3割にのぼるといわれている。求められる水の純度はすさまじく高い。最先端半導体チップのプロセスノードは2nm相当で、微粒子などが付着すれば歩留まり(良品率)が悪化する。そのため、ナノレベルの不純物まで除去した超純水が求められる。

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総合水処理エンジニアリング企業のオルガノが急成長を遂げている理由はここにある。同社は半導体製造に不可欠な超純水製造装置に強みをもつ。同社が手がける超純水に含まれる不純物の濃度は1ppt(1兆分の1)。オリンピックの競泳用50mプール(2500㎥)分の超純水に、耳かき1さじ(2.5mg)分の不純物しか含まれない計算だ。

「先端半導体分野で活発な設備投資が続いていることが、当社がここ数年、急速に業績を拡大している要因です。AIを活用して業績を伸ばしているというよりも、AIの需要が高まるなかで業績が伸びる会社というイメージのほうが近い」と、オルガノ社長の山田正幸は話す。

その技術は国内の大型プロジェクトにも組み込まれている。世界最先端の半導体の開発・製造を目指すラピダスが27年の量産開始に向けて整備を進める北海道千歳市の半導体工場では、水処理プラントや設備の設計・維持管理などにオルガノの製品や技術が採用されている。

今でこそ半導体銘柄として注目が集まるオルガノだが、半導体とのかかわりは長い。

1957年に国内で初めて電子産業向けの超純水装置を納入し、80年代以降は海外に進出。2010年代に入ると半導体市場そのものが拡大基調に転じた。

20年度に出した長期経営計画「ORGANO2030」では「30年度の営業利益300億円」を目標に掲げるも、24年度に早々と達成。26年3月期の売上高は1776億円、営業利益は376億円で、ともに5年連続で過去最高を更新した。

「AIの進化はすさまじいですよね。半導体が全然足りないという状況までは、さすがに想像していませんでした」

半導体需要の高まりがあるとはいえ、同社はなぜ、ここまで売上高や利益を伸ばせているのか。その理由を山田は「資材や原材料費が高騰しても、それらをきちんと価格転嫁しながら受注できていることが大きい」と話す。言い換えるなら、売り手市場だから顧客への価格交渉をリードできるということだ。

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文=瀬戸久美子 写真=淺田 創 ヘアメイク=Kunio Kataoka(AVGVST International)

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