宇宙

2026.10.21 09:00

JAXA、火星衛星探査機の打ち上げ成功──火星の月から初の試料帰還と8K映像の持ち帰りへ

Mojahid Mottakin - stock.adobe.com

MMXはフォボスに着陸し、2031年の試料帰還を目指す

火星に到着したMMXは、まず火星の周回軌道に入り、その後、フォボスを至近距離から繰り返し観測できる「擬周回軌道」へ移る。カメラや科学観測機器を使ってフォボスの組成と表面の状態を調べ、着陸して試料を採取するのに安全な場所を選ぶ。

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重力が弱いフォボスで、どうやって試料を採取するのか

フォボスへの着陸は、MMXの探査で特に難しい工程となる。フォボスの重力が極めて弱いため、探査機は慎重に着地して、砂のような表層物質「レゴリス」を採取しなければならない。MMXは1回または2回着陸し、ガスの圧力を利用する方式を含む2種類の採取装置で、少なくとも10グラムを集める設計だ。ドイツとフランスの宇宙機関DLRとCNESが共同開発した小型探査車「IDEFIX(イデフィックス)」も放出し、探査機本体とは別に表面を調べる。

MMXはダイモスにも接近し、帰還カプセルを地球へ運ぶ

フォボスでの作業を終えたMMXは、火星からより離れた軌道を回る小型の衛星ダイモスの近くを何度も通過する。2つの衛星を比較し、形成過程を解き明かす手掛かりを集めるためだ。観測後はフォボスの試料を帰還カプセルに収め、火星圏を離れて地球へ向かう。計画通りに進めば、カプセルは2031年にオーストラリアの砂漠へ降下する。成功すれば、火星とその衛星を含む領域から試料を地球へ持ち帰るのは史上初となる。

8K動画は火星から送信できず、記録装置ごと地球へ持ち帰る

帰還カプセルはフォボスの試料だけでなく、火星とその衛星を撮影した超高精細映像も運ぶ。計画通りに帰還できれば、これまでに見たことのない火星圏の姿が地球に届く可能性がある。

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日本放送協会(NHK)は2007年、JAXAの月周回衛星「かぐや」に高精細度(HD)カメラを搭載した。その後は国際宇宙ステーションから地球を4Kで撮影した実績がある。MMX向けには8K対応のスーパーハイビジョンカメラを開発した。

火星から8K動画を送信するには通信容量が足りない。探査中には一部の4K・8K画像を地球へ送るが、元の高解像度映像は記録装置に保存される。MMXはフォボスの試料とともに記録装置を帰還カプセルに収め、地球へ持ち帰る。

日本は月面着陸と小惑星からの試料回収に成功してきた

2024年1月にはJAXAの小型月着陸実証機SLIM(スリム)が月面着陸に成功し、日本は月面着陸を実現した世界で5番目の国となった。小惑星から試料を地球へ持ち帰った実績も2回ある。小惑星探査機「はやぶさ2」は2019年に小惑星リュウグウで試料を採取し、2020年に南オーストラリアへ届けた。「はやぶさ」も2005年に小惑星イトカワを訪れ、2010年に試料を地球へ持ち帰った。

(forbes.com 原文)

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