ビジネスとはロケットを飛ばすことに似ている──。ジオ・サーチの場合は?
ビジネスはロケットの飛行に似ている。ここでは、スモール・ジャイアンツアワード受賞企業の商品づくりを「ロケットエンジン(上の図)」、その結果生まれた事業成果を「ロケットの飛行(下の図)」に見立てて解説してみたい。
商品は、企業が今もっている人・モノ・技術といった経営資源を費やすことで生まれる。経営資源はロケットエンジンで言えば「燃料」だ。現実のロケットエンジンも、水素や酸化剤の配分が適切でなければ、うまく燃えない。これと同じで、経営資源を適切に振り分けることが、良い商品を生み出すことにつながる。これが、「バルブ」の働きだ。

こうして生まれる商品が、「燃焼ガス」だ。だが、単にガスをつくるだけではロケットは飛ばない。それをどこに噴射するかで、飛んでいく方向が変わる。つまり、市場投入の戦略、平たく言えば「売り方」は、エンジンの「噴射ノズル」と言えそうだ。
商品(燃焼ガス)を市場に投入(噴射)すると、「推力」が生まれる。これが社会に与えるインパクト(影響力)だ。社会に影響力を与え続けることで、次第に実績が増える。これをロケットに当てはめれば、推力を出し続けた結果高度が上がるイメージだ。そして、現在までの実績の累積が、現在地、すなわちロケットの「飛行高度」となる。

一方、宇宙に飛び出す前に、ロケットには「空気抵抗」と「重力」がかかる。空気抵抗は競合や市場の変化といった外からの逆風、重力は組織がもつ課題のように地上に引き戻す力だ。ロケットがより高いところに飛んでいくためには、これらの力の影響を最小限にしつつ、より高い推力を生み出して飛び続けることが不可欠となる。
飛び続けるためには、再投資も重要だ。これは、エンジンの「ターボポンプ」だろう。燃焼ガスの一部はターボポンプに流れ込み、次の経営資源を力強く燃焼室に送り続ける。例えば、技術開発に投資して新しい技術が生まれれば、それが次の燃料になる。つまり、再投資を適切に行い続けることで、理論上は半永久的に飛び続けられるのだ。
飛び続けた先にあるのが、「真のスモールジャイアンツ」の姿だ。未踏の天体(未知の顧客や市場)に到達するために、商品をつくり、推力を生み、高度を上げる。彼らがこのサイクルをどう回しているか、ここまでの2枚の図をもとに詳しく読み解いてみよう。
事業の「社会的意義」を信じる
ジオ・サーチの主な燃料は、“他人が見えないものを見る”GPRの技術だ。この技術に自走力の高い社員や自社でのR&D組織、そして41台のスケルカーを組み合わせることで、商品を生み出す。事業判断の基礎、つまりバルブとなるのは「事業の社会的意義を信じる」こと。その理念をもとに、拠点間協力などの体制を生かし活動する。
こうして「スケルカ(透ける化)」と名付けたサービス、例えるなら「インフラの内科医」を展開する。具体的には、道路の点検や調査計画の策定などを、toG(売上の9割)をメインに行う。「質」と「スピード」を差別化要素としており、こうした点が評価され、国や自治体からの発注や、事故・災害後の緊急対応などで実績を上げる。
その結果、直轄国道の陥没発生割合は1%と、道路総延長に占める割合(2%)よりも低く抑えることに成功しているほか、巨大空洞を陥没前に発見して事故を未然に防ぐことにも成功。さらに、コンサル領域の業務から請け負った藤沢市では陥没8割減を達成した。これらが、同社が生み出す燃焼ガスと、そこから生まれる推力だ。
今後は「世界で最も信頼できる地下の3次元可視化情報」を提供する企業になることを目標としている。そのために近年では「情報可視化」への再投資に注力しており、地下の空洞を3Dモデルのように見られるツールなどさまざまな可視化技術の開発に取り組む。
こうした再投資がターボポンプとして機能することで、行政や一般市民などが危険性を認知できる。その結果、同社の事業はより高い地点へと進み、「Gensai」の世界共通語化に近づくことだろう。


