「Gensai」を世界の共通語に
同社が目指すのは、事前に被害を抑える「Gensai(減災)」の世界への普及だ。
「Prevention(防止)は難しいけど、Mitigation(緩和)ならできる。『Gensai』を世界に発信して広げたいし、実際その分野で役に立ちたい」
そのために掲げるのが、「世界で最も信頼できる地下の3次元可視化情報の提供企業」という目標だ。
「米国のGISの世界的経営者に言われたアドバイスの1つが、See what others can't(他者が見えないものを見る)でした。これが我々のコアテックであり、フォーカスしている部分なんです」
八潮の事故以降、自治体の首長や議会、さらには一般市民までもが、インフラの老朽化や道路陥没に関心を寄せるようになった。「我々が必要だとずっと主張してきたことに、時代がキャッチアップしてきた」と雑賀は話す。近年は、空洞を3Dで見せる「3Dスコープ」や、空洞の発生しやすいエリアを地図上に示す空洞ポテンシャルマップなど、「地下がどうなっているか」をわかりやすく伝えるツールの開発に力を入れる。意思決定者にリアルな状況を示すことで、平時における調査の重要性を伝える狙いだ。
海外では、台湾をハブに東南アジアを開拓するほか、米国では西海岸から東海岸へと展開していく構えだ。
「八潮は確かにピンチだったかもしれない。でも、そこから生まれた日本の『Gensai Tech』で、新しい未来をつくっていきたい」
インフラは自然治癒しない。だからこそ、予防保全の考え方を社会に根づかせ、定期的な点検を続けることが、安全な暮らしを守る唯一の手段だ。地雷原で磨かれた「見えないものを見る」技術で、ジオ・サーチは日本と世界の足元を守り続ける。
雑賀正嗣◎ジオ・サーチ代表取締役社長。1989年、京都大学大学院工学研究科修了後、建設会社に入社。土木設計技術者としてロンドン地下鉄延伸プロジェクトなどを担当。道路メンテナンスの経験を積み、2002年、ジオ・サーチへ入社。21年に代表取締役社長就任。世界に向けた減災コンセプトと「Gensai Tech®」の普及にまい進。


