発災から12時間以内に現場へ
競合はほかにもあるが、同社の優位性は「スピード」と「質」の両立にある。スケルカーの保有台数は海外を含めて41台。同業のなかでも国内最大規模だ。国内の各拠点に配備し、空洞を急拡大させる大雨や地震の際には、発災から12時間以内に展開できる体制を整える。
速さにこだわるのには理由がある。04年の新潟県中越地震では、発災から時間がたってから陥没が相次いだ。地震で地下に空洞ができたのにもかかわらず、雪で覆われ冷えた舗装は固くなり、陥没が起きづらくなっていた。しかし、雪解けとともに舗装が緩み、さらに復旧工事用の重機が入り始めたことで、時間差で陥没が起きたのだ。こうした経験から「なるべく早い段階で調査をやったほうがいい」と雑賀は言う。
スケルカーにはカメラやGNSSアンテナも搭載されており、発見した空洞は周辺写真とともに正確な位置が記録される。これにより位置を特定するための再調査が要らず、迅速な補修につなげられる。
社員の自走力も強さの源泉だ。能登半島地震の際には、こんなエピソードがあった。
「ネット環境が悪く、現場からデータ転送ができなかったんです。そうしたら、機転を利かせたスタッフが『スターリンクが使えます』と。現地の量販店でアンテナを買ってきて、衛星回線で調査データを送ってきました」
全国の拠点が互いに支え合う「拠点間協力」の体制も築いてきた。
「凝り固まったやり方は脆弱なので。フレキシブルに対応できる体制をずっとつくってきたんです。例えば、九州で取ったデータを東日本のメンバーで解析する。拠点や部署にかかわらず柔軟に動ける体制は強いですよ」
技術開発部隊と調査部隊を社内に抱えていることで、車両、解析システムともに、常に改良が繰り返される。これが「買ってきた技術で調査だけを行う」会社とも、「技術だけを売る」会社とも異なる競争力を生み出す。
こうしたスピードと質が評価され、国などが実施する技術コンペでの採択率は90%に達する。これが「国内シェア9割」の中身だ。八潮の事故後の緊急点検が同社に託されたのも、その実績があったからだ。


