メモリー半導体株でも、業績の底で格下げが繰り返される
格付けが株価を後追いする現象は、セールスフォースに限らない。アナリストは、メモリー半導体メーカーの業績が循環的に悪化して底を打つ頃に投資判断を引き下げる。ところが、マイクロンなどの株価が過去最高値へ向けて急騰すると、慌てて投資判断を引き上げる。
金融機関が用いる分析モデルは、現在の株価の動きが企業の将来を示していると仮定する。しかし金融市場は効率的というよりも感情に左右されるため、株価の動きを将来の事業の姿とみなす前提は成り立たない。
突然の買い推奨より、顧客に不可欠な事業と株価の妥当性を見極める
アナリストが一斉に投資判断を変えるのは、将来の企業価値を見通したためではなく、直近の値動きを後から評価した結果であることが多い。突然の格上げを買いの合図と受け止めれば、すでに大幅に上昇した銘柄を高値で追いかけてしまう。投資家が重視すべきなのは、企業が顧客の重要な業務を実際に支えているかどうかだ。
セールスフォースは、株価の落ち込みと事業の強さが一致しなかった好例である。同社は大企業にとって簡単には取り除いたり置き換えたりできない顧客情報、法規制への対応に必要な監査記録、日々の業務の進め方を定めるルールを管理している。AIが企業向けソフトウェアに組み込まれるほど、蓄積された顧客情報の価値は失われるどころか高まっていく。
強気の評価が殺到した時は焦らず、悲観的な相場で買い場を探す
優良企業の株価が売り込まれ、アナリストが投資判断を引き下げても、見出しだけで判断すべきではない。投資家は、顧客が簡単には離れられない仕組みなど、事業の構造的な強みが維持されているかを確かめるべきだ。逆に、株価が急騰する銘柄へ強気の「買い」評価が殺到しているなら、性急な判断を避けたい。
長期的に現金を生み出す力に照らして、株価が妥当な水準にあるソフトウェア企業へ資金を向けるべきだ。投資先が各分野を代表し、顧客の支持が厚く、業務に欠かせないソフトウェアを提供しているかを確かめたい。アナリストの格付け変更に振り回されず、実際の事業成果を見て、ウォール街の短期的な悲観によって妥当な価格で買える機会が生まれた時に投資すべきだ。


