自動車メーカーへの技術支援や蓄電システムの開発などを手がけるエンジニア集団T-PLAN(大分県)。同社が大分県の小さな離島で構築したモビリティとエネルギーの自給自足モデル「姫島モデル」が、太平洋の島嶼国・パラオでも事業化を見込んでいる。
「姫島モデル」とは、太陽光発電のソーラーカーポート・蓄電システム・電動モビリティ(EV)を一体化した同社開発の「GREEN HUB(日本名:青空コンセント)」を用いたモビリティ運用モデル。世界中の島嶼国の共通課題を解決する可能性を秘めた持続可能なエネルギー・モビリティモデルとして注目が集まっている。
2006年にT-PLANを創業した寺下満は、自動車メーカーのエンジニアとして早期からEVに着目し研究を進めてきた。現在に至るまでの寺下のEVへの情熱は、故郷の姫島で育まれたものだった。
生まれ育った姫島に貢献したい
大分県北東部に位置する姫島は、人口約1600人の小さな島。ここで生まれ育った寺下は、15歳で島を出る際、「将来エンジニアを目指して島に貢献する」と卒業文集に刻んだという。
姫島では、ガソリンをはじめとするエネルギーを島外からの輸送に依存せざるを得ず、輸送コストなどが上乗せされて燃料費が高くなるという課題があった。高校卒業後、三菱電機にエンジニアとして入社した寺下だったが、こうした島の課題を背景に当時国内で電気自動車(EV)の研究を行っていたダイハツ工業へ転職。1998年のことだった。当時はまだEVという言葉すら一般的ではなく、ガソリン車が徹底的に消費されていた時代である。
あいにく入社翌年に社内でのEV開発が一時中断されたものの、大分県と産学官連携でEV技術やEV普及に関して研究を進め、2006年にT-PLAN(創業当時はT・プラン)を立ち上げた。
「これまで電気分野で仕事をしてきたので、その技術を生かしながら生まれ育った地域に何か貢献したいと考えていたのですが、幸い大きな島ではないのでEVが合うのではないかと。ただ、エネルギーを島外に依存しないことも大切です。そこで、再生可能エネルギー(太陽光)を使ったエネルギーの自給自足が実現できるんじゃないかと考え、姫島モデルのコンセプトが生まれました」(寺下)



