初期の頃は怪しげなニッチサイトに広告が掲載されるなど苦難の連続だったが、継続的な健全化対策により、大手ブランド広告主の関心は着実に高まっている。ブランドの想起を高めたい大手マーケターを中心に利用される、何カ月も前に広告枠を予約する広告主の数は前年の4倍に増加した。ただし、グーグルは具体的な数値を公表していない。
それでも、バナー広告は「ネイティブ広告」に対して劣勢を強いられてきた。ネイティブ広告は、退屈なバナーの代わりに記事や動画などのコンテンツを活用して人々の関心を引きつける。「私たちにとって現時点で、フェイスブックはYouTubeよりも大きな投資対象です」と、ライゾールやクレアラシルなどのブランドを保有するレキットベンキーザーの米国最高マーケティング責任者(CMO)、ローラン・ファラッチは述べる。
これに対抗するため、モーハンはディスプレイネットワーク向けの高度な「エンゲージメント広告」に賭けた。たとえば、ユーザーがカーソルを2秒間重ねると枠が拡大し、動画、ゲーム、アプリが再生されるような仕組みである。サムスンは最近、新型スマートフォンとスマートウォッチのライブ動画を配信するため、この広告を数百万回にわたり展開した。6月にはバーバリーがグーグルを通じてディスプレイ広告とモバイル広告を展開した。ユーザーに唇をすぼめた写真を撮らせ、そのキスマークのデジタル画像を大切な人へ送らせるという仕掛けだった。
これらの広告は成果を上げ始めている。現在、毎日約1000件のキャンペーンで利用されるエンゲージメント広告は、標準的なバナー広告の約2倍の出稿価格を維持している。標準的なバナー広告の価格は大きく変動するものの、リーチした閲覧者1000人あたり平均約3ドルである。エンゲージメント広告の単価が高い理由の1つは、バナー広告におけるクリック課金と同様に、誰かが実際に広告を閲覧しない限り広告主は料金の支払いを免れる選択肢をもつためである。したがって、広告主にとってより価値が高いのだ。それでもなお、これまで冷徹な数学によって成功を収めてきた企業にとって、ブランディングは依然として高い壁である。


