クックパッドは、過去7年間でユーザーベースを12倍に拡大、20歳代から30歳代までの日本女性の半数以上が同サイトを利用しており、日本で最も再生回数の多いサイトの55位にランクインしている。佐野氏は、1997年にクックパッドの企画・運営を手掛けるクックパッド株式会社を設立し、2009年には東証マザーズに上場を果たしている。
同社の昨年の売上高は創業当初から80%増加、6,500万ドル(約78億9,000万円)を計上しており(純利益は1,900万ドル)、株価もこれに合わせて急騰している。同社の株価は、先月だけでも20%上昇しており、佐野氏が保有する自社株44%の時価総額は10億ドル(約1,214億円)を超えるとされる。
現在42歳の佐野氏は海外メディアの取材には滅多に応じないが、そんな彼についていくつかのことが分かっている。彼は慶応大学を卒業後、クックパッドを立ち上げた。
2012年にはCEOの立場を譲り、吸収合併事業に専念するようになった。その後、結婚式場口コミサイト「みんなのウェディング」他、今年初めにはレシピブログのプラットフォームを提供する米「キューカンバータウン」を買収したが、その買収額は公表していない。
アナリスト予想では、今年のクックパッドの売上高は1億1,200万ドルに達し、来年には1億5,000万ドル程度まで伸びることが見込まれ、利益率がほぼ30%として来年の純利益は4,000万ドルの上乗せになるとしている。ドイツ銀行東京支店のアナリスト風早隆弘氏は、クックパッドの目を見張る成長が、日本が抱える根本的な問題への答えになるとしている。「日本の主婦は総体的に社会とのつながりを失いがちですが、クックパッドはそんな女性たちに様々な機会を提供することができます」
佐野氏は、料理が家族を結びつけると信じている。
「ひとびとが料理をしたくないと思っているのではありません。年長者から知識を受け継いでいないから、作り方を知らないだけです」と彼は、2008年のジャパン・タイムスの取材記事に答えている。
彼と彼の妻は毎日どちらかが料理をしているのだそうだ。クックパッド本社では、従来型のカフェテリアの代わりに業務用のキッチンを設け、社員が自ら昼食を調理する。佐野氏に近い人物によれば、彼は自分が知っている人間が作った料理でなければ口にしないそうだ。