やっかいな学習がすべて役に立つわけではない
困難が望ましいものになるのは、努力すれば乗り越えられる場合だけだ。もしその内容が自分の現在の知識をはるかに超えているのであれば、それに苦戦しても学習の深化にはつながらない。たいていは混乱し、意欲を失うだけだ。
ワーキングメモリが1度に扱える情報量には限りがある
認知負荷理論はその理由を部分的に説明している。新しい情報を理解しようとしている間、その情報を一時的に保持する脳の働きであるワーキングメモリには、1度に処理できる情報の保持量に限界がある。内容がすでに複雑な場合、そこにさらに困難が加わると、記憶を強化するどころかワーキングメモリに過大な負荷をかけてしまう可能性がある。
これが一部の学習法には限界がある理由だ。異なる種類の問題を1回の学習セッションで混ぜる方法は、比較的単純な内容では効果を発揮する傾向があるが、内容が非常に複雑になるとその効果は薄れるようだ。専門誌『Learning and Instruction』に2026年に掲載された研究では、中等学校の生徒がこの方法で複雑な物理の問題に取り組んだ場合、1人で取り組むよりも、他の人と一緒に内容を考えながら取り組んだときにこの方法が最も大きな効果を発揮した。また自己テストも、さまざまな考えがどのようにつながっているかについて深い理解を築くよりも、事実を記憶するのに確実な効果を発揮する。
まったく理解できないと感じたら?
目指すべきは取り組める範囲の難しさだ。まったく理解できないと感じたら、まず明確な説明を受けたり、例題を確認したりすることが役に立つ。ある程度の土台ができてから、より難易度の高い演習に取り組むのが最も効果的だ。


