テクノロジー

2026.10.15 19:15

工衛星に代わる新技術、東大発HAPSが翼幅30m実証機で初飛行に成功

プレスリリースより

プレスリリースより

地上から10〜50kmの高さにある成層圏に無人航空機を飛ばして、通信、観測、防災など人工衛星のような役割を担わせる「成層圏プラットフォーム」(HAPS)の開発競争が世界で繰り広げられているが、東大発のHAPSスタートアップ、Velocity Aeroworks(ベロシティエアロワークス)は、小型分散型というユニークなHAPSの開発を進めている。このほど、翼幅30mの実証機の初飛行に成功し、2028年の運用開始予定に一歩近づいた。

Velocity Aeroworks公式ホームページより
Velocity Aeroworks公式ホームページより

なぜ人工衛星ではなくHAPSなのかと言えば、まずはロケットで地球周回軌道まで打ち上げるための莫大なコストがかからないことがある。電動プロペラで地上の滑走路から離陸して、成層圏では太陽電池の電力で長時間飛行できる低コストと手軽さも人工衛星とは大きく異なる。さらに、特定地域の上空に留まれるという利点があり、地上との距離が近いため、通信や地上観測でも有利だ。地上に戻して機材を積み替えれば、異なるミッションにも対応できるといった柔軟な運用も可能だ。

日本ではソフトバンクとNTTがリードし、運用開始が目前の状態にある。これらの企業は、比較的大型の航空機を使用して中央集中的なサービスを目指しているのに対して、Velocity Aeroworksは小型分散型を提案している。小型軽量な航空機をいくつも飛行させ、そのネットワークで機能を分散させる仕組みだ。そのほうが、日本の成層圏に特有な強い偏西風やジェット気流の中を長時間飛行する際に有利だという。

Velocity Aeroworks公式ホームページより
Velocity Aeroworks公式ホームページより

そうした強い風に逆らうのではなく、柔軟に翼をひねらせて風に乗るというのが同社の機体の特徴だ。主翼の前に突き出した3つのカナードも、風による機体の変形を制御するためのものだ。今回、初飛行を行った実証機「GrassHopper」は、量産機と同じサイズで、最終的にはサービス用機材を搭載して成層圏を飛行できるように設計されている。ちなみに、機体の開発製造、制御システムの開発など、すべてを自社で行っている。

同社のロードマップによれば、2027年に成層圏に到達、2028年に量産機によるミッション運用を開始、2030年からは複数機による分散型成層圏インフラの構築を行うことだ。

出典:Velocity Aeroworks 翼幅30mのHAPS実証機「GrassHopper」、初飛行に成功

Velocity Aeroworks公式ホームページ

文 = 金井哲夫

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