日本発着のクルーズが韓国、台湾、東南アジアを結ぶ
「日本周遊」として販売されるクルーズにも、韓国の釜山や済州島を寄港地に組み込む航路が多く、台湾まで足を延ばすものもある。プリンセス・クルーズは、日本とシンガポールを結ぶ長期航海に加え、船を運航地域間で移す「リポジショニングクルーズ」も運航し、日本と東南アジアを結んでいる。
東アジア各地を結ぶクルーズ航路の拡大は、沖縄にとって特に重要だ。MSCクルーズは、那覇の新ターミナルによってアジア全域の接続を強め、アジア以外から訪れる旅行者とアジア域内の旅行者の双方がクルーズを利用しやすくするとしている。
日本人クルーズ人口100万人を目指し、船内サービスも日本向けに
米国や欧州から飛行機で東京にやってくる旅行者に加え、日本国内の利用者もクルーズ市場の成長を支えている。2025年にクルーズを利用した日本人は約24万3000人で、政府は2030年までに日本人のクルーズ人口を年間100万人に増やす目標を掲げる。
クルーズ会社も日本市場への対応を進めている。プリンセス・クルーズは、地域色のある料理、ダイヤモンド・プリンセスの日本式入浴施設、地元のエンターテインメント、日本発着で運航する2隻に設けた江戸前寿司店「マコト・オーシャン」など、日本を意識した船内体験を打ち出している。
世界一周クルーズで存在感を高める日本の寄港地
日本は世界一周クルーズでも、旅程の重要な一角を占めるようになっている。オーシャニアクルーズの2027年世界一周航海には、日本の複数港に寄る香港発東京着の13日間の区間が含まれる。2028年の世界一周クルーズも日本に多くの日程を割き、釜山、鹿児島、長崎、高知、大阪に寄る台北発東京着の12日間の区間を設ける。
フレッド・オルセン・クルーズ・ラインズの2027年世界一周クルーズは日本を主要な寄港地とし、東京と大阪でそれぞれ1泊停泊する。清水と名古屋にも寄る予定だ。
日本政府はクルーズ観光を支援、寄港地の分散と地域経済の活性化を目指す
日本政府はクルーズ観光の拡大を政策として後押ししている。国土交通省は、クルーズ船の受け入れ施設の整備や旅行者の受け入れ環境の改善を支援するとともに、寄港が集中する主要港から地方の港へ観光客を分散させる取り組みを進めている。
オーバーツーリズム対策という課題
クルーズ観光の拡大は、オーバーツーリズムという課題も生んでいる。国交省は2026年9月、新たに15事業を採択し、主要なクルーズ寄港地で起きるオーバーツーリズムへの対応を課題として明示した。
寄港時の消費額は平均約2万2000円、地域への経済効果をどう高めるか
日本政府は、クルーズ船の寄港が地域にもたらす経済効果にも注目を強めている。政府が2026年に公表した調査では、乗客1人当たりの陸上消費額は1回の寄港につき平均約2万2000円(約140ドル)で、滞在時間が長いほど支出も増えるとされた。
日本政府は、寄港回数を増やすだけでなく、国内クルーズ市場の育成、外国クルーズ船の誘致、寄港地の分散、寄港1回当たりの経済効果の向上も目指している。
沖縄の新ターミナルは、日本のクルーズ振興戦略を目に見える形で示すものだ。さらに重要なのは、多くのクルーズ会社も日本市場の成長を見込み、投資や運航拡大に動いていることだ。


