彼女が「仕事のエコシステム・レビュー」と呼ぶエクササイズでは、クライアントは各要素に対する満足度を1から10のスケールで評価する。その結果、安堵することが多いという。「全体が悪いのではなく、実はたった一つの要素が自分を不幸にしているのだと気づけるのです」と彼女は言う。過酷な通勤という問題には解決の選択肢があるが、キャリア全体が壊れてしまったと判断すれば、選択肢などなくなってしまう。
これは私たちの生活の現実にシステム思考を適用したものであり、筆者自身の「体系的な引き算」への取り組みとも重なる。意味のある引き算とは、タスクを機械的に赤線で消したり、カレンダーアプリ経由で届く面談への招待をランダムに拒否したりすることではない。システムを明確に把握し、どの部分を変更すべきかを知ることから始まるのだ。
エコシステムはオフィスの外にも広がっている。充足感は仕事だけで得られるものではなく、満ち足りた人生を送るために毎日が10点満点である必要はないとクルーグ・フォン・ニッダは指摘する。もし仕事において根源的なニーズが満たされていないのであれば、そのニーズを仕事以外のどこで満たせるかと問い直す方が賢明かもしれない。
価値観は「引き算リスト」でもある
クルーグ・フォン・ニッダが「MOVE」と呼ぶフレームワークは動機(Motivation)から始まり、動機は価値観から生まれる。彼女の提案はシンプルだ。自分にとって最も重要な5つの価値観を特定し、それらが欠けている部分を探す。その欠けた空間を埋めているものこそが、削減または排除すべき候補となる。「私たちは、しばしばあらゆる人のためにあらゆることをしてしまっている」と彼女は言う。
彼女は自身の例を挙げてくれた。そこには、引き算の一連のステップである「Stop、Drop、Roll」が見事に現れていた。
1.Stop(やめる):彼女にとって「学ぶこと」は最も高い価値観の一つだ。新著のプロモーションで目まぐるしい日々を送る中、学びの時間がないがしろになっていることに彼女は気づいた。
2.Drop(手放す):彼女はその原因がSNSにあると突き止めた。SNSは、彼女を他人と比較する罠に陥れる原因にもなっていた。そこで彼女は、毎日SNSをスクロールする時間を削減した。
3.Roll(転換する):彼女は浮いた時間を、自著に書かれた問いに1つずつ答えることに再投資した。これにより、自身の学習を深め、自己省察を続けることができている。


