重要なお知らせ 「Forbes」の名称を使用した営業活動にご注意ください

起業家

2026.10.07 21:44

起業家にとって大学の学位が強みになるのはどんな時か

stock.adobe.com

stock.adobe.com

最も影響力のあるスタートアップ・インキュベーターがガレージではなく、大学キャンパスだとしたらどうだろうか。

「創業者が大学を中退して成功する」というストーリーは、何十年もの間、起業家精神をめぐる言説を支配し、高等教育の価値に対する懐疑論を後押ししてきた。しかし英国の大学は、2023/24年に5111社の新会社の創出に関与し、その大半は学生や卒業後間もない人々が立ち上げたものだった。起業家に学位が必要かどうかを問うよりも、より適切な問いはこうだ。大学は、他の場所では築きにくい競争優位を、どのような時にもたらすのか。

大学は実験する自由を与える

多くの起業家は、大学を事業構築からの遠回りと見ている。アンドリュー・ブロックにとって、大学は起業家としての歩みが始まった場所だった。マンチェスター大学科学技術研究所(UMIST)で経営科学を学んでいた時、彼はナイトクラブのプロモーション事業「The Sound Foundation」を立ち上げた。

現在はAndrew Bloch & Associatesの創業者であるブロックは、大学入学前から起業家的な素養を示していた。最初の仕事は12歳の時、理髪店で髪を掃き集めることだった。その後もさまざまな仕事を経験した。しかし大学は、より大きな規模で試す自由を彼に与えた。

「大学は、自立したいという思いを別のレベルで試す自由を与えてくれた」と彼は語る。「私はベイクドビーンズをのせたトーストで食いつなぐのではなく、お金を稼ぎ、大学生活を楽しみたかった。友人たちと私は、やることを探している何千人もの学生の間に、手頃な価格で夜遊びできる場へのニーズがあることに気づいた」

学び、稼ぎ、楽しむ

そのビジネスは週に数千ポンドを売り上げ、単なる小遣い稼ぎをはるかに超えるものをもたらした。同時に、起業が切り開く可能性も示した。「学び、稼ぎ、楽しむことは同時にできるのだと教えてくれた。そして、さらに築き上げ、可能な限り最高の人生をつくりたいという渇望を与えてくれた」とブロックは言う。

彼の学位課程は、会計、ファイナンス、商法からマーケティング、メディア、さらにはビジネス心理学まで幅広く扱っていたが、同時に、人前で話し、プレゼンし、アイデアを売り込む自信も与えてくれた。

「当時、学生向けの夜のイベントの多くは、安いビールさえあれば十分だと考えているように見えた」と彼は言う。「しかし学生は、必ずしも安いだけのイベントを求めていたわけではない。手の届く価格で、最高の会場と有名DJをそろえた素晴らしい夜を求めていた」

多様な人間関係に触れる

今日、創業者たちが学位の価値にますます疑問を投げかけるなか、ブロックは、大学の最大の利点は、それまでの交友関係の外にいる人々に触れられたことだと主張する。

「その多様性は、何が可能かについての私の視野を広げ、必ずしも自分と同じ考え方をしない人々とともにアイデアに挑み、発展させる自信を与えてくれた」と彼は言う。「経験は、何が有効かを一度に一つずつ教えてくれる。大学は、私がそれを正当化できるだけの経験を積む前に、フレームワークと幅広い視点、そしてより大きく考える許可を与えてくれた」

だが、高等教育の価値は、創業者が在学中に必ずしも明らかになるわけではない。事業を成長させる段階で、会社を始めるきっかけとなったスキルをはるかに超える知識が求められるようになって初めて、その真価が見えてくる場合もある。

大学の学位の価値に後から気づく

フレドリック・スカンツェがストックホルムを離れ、スタンフォード大学でMBAを取得しようとした時、彼はその価値をすぐには理解していなかった。それが分かったのは後になってからだ。eコマース企業を創業し、プロダクト開発に加えて、会計、ファイナンス、人事、マーケティング、戦略の専門知識が必要だと知った時だった。

こうした知識はオンラインや実務の中で学べると批判する人もいるが、Funnelの創業者であるスカンツェは、分析の基盤を身につけるには、大学が今なお最良の場所だと考えている。

「通わなければ、それらを同じ水準で理解することは決してできず、機会を逃すことになる」と彼は言う。「どの時点でも、経営チームの少なくとも1人、あるいは1つの機能はうまく機能しておらず、あなたの幅広い専門知識と注意を必要とする」

その幅広さは、リーダーシップチームをつくる時にとりわけ重要になると彼は主張する。特定の機能に強いリーダーを採用するには、その機能を隅々まで理解し、「優れている」とは何かを知っていることが重要だ。

「スタンフォードのMBAプログラムを経験していなければ、私はこれを実行できなかっただろう。事業の技術面とプロダクト面に集中し、組織の他の部分の構築は他者に頼っていたはずだ」

大学は起業家として学ぶ唯一の道ではない

スカンツェは、大学を唯一の道として提示することには慎重だ。Yコンビネーターのようなアクセラレータープログラムも、創業者にメンター、同業者ネットワーク、投資家へのアクセスを提供していると指摘する。彼の見方では、最も成功する起業家は、さまざまな学びの形を組み合わせている。

「結局のところ、これらすべてに役割がある」と彼は付け加える。「スタートアップを築くということは、どれだけ速く学べるかということだ。利用できるリソースを使って素早く立ち上がるための柔軟性と準備が、成功を左右する」

大学の学位が、企業が何を構築できるかを形づくる時

もっとも、幅広さは高等教育が重要性を持つ一つの形にすぎない。専門性の高い分野では、学位の価値はその逆、すなわち創業者が会社をどう運営するかだけでなく、その会社が何を構築できるかを形づくる深い領域知識にある場合がある。

アレクサンダー・カルドス=ニーハイムの物語は、AIに関する一般的な前提、すなわち成功は主として技術的専門性によって決まるという見方に異議を唱える。彼の経験は、専門市場では領域知識も同じくらい重要になり得ることを示している。

ケンブリッジ大学で法律を学び、アレン・アンド・オーヴェリーで研修を受けた後、彼はAI研究企業SafeSign Technologiesを創業した。2024年、同社はトムソン・ロイターに買収され、カルドス=ニーハイムは同社で基盤ML研究部門を共同で率いている。

「領域知識がエンジニアリングや科学に勝ると主張するつもりはない。研究科学者なしには何も構築できず、私たちの研究者たちは卓越していた」と彼は言う。「私の主張はもっと限定的だ。モデルがコモディティ化するにつれて、差別化要因はシステムを構築することから、何が正しいかを知ることへと移る。そして法律の世界では、もっともらしく間違っていることは、明らかに間違っていることより悪い。自信に満ち、よく書かれていながら、微妙に誤った答えこそが危険な出力であり、その作業を経験していなければ見抜くことはできない」

法学の学位でプロダクト上の優位性をつくる

ケンブリッジでの法学のバックグラウンドがプロダクト上の優位性を生んだ最も強い証拠として、彼は自社の訓練データセットと評価データセットを挙げる。「私たちは公開ベンチマークではなく、監督パートナーが差し戻すであろう内容からデータセットを構築した」と彼は言う。「それらのテスト仕様こそ、私が昔の法学教授たちの助けを借りて下さなければならなかった根本的なプロダクト判断だった。法律家でない人なら、私たちが検証した失敗パターンをテストすべきだとは分からなかっただろう」

商業面での証拠は、買収そのものだと彼は言う。「トムソン・ロイターは有力なコンテンツ・テクノロジー企業であり、エンジニアには事欠かない」と彼は言う。「同社は26歳の若者から信頼性を得る必要などなかった。収益が出る前に私たちを買収したということは、トラクションではなく、能力を買ったということだ」

法学の学位が「正しさ」の姿を示した

多くの創業者は、ガバナンス、コンプライアンス、法的構造を、外部委託できる管理上の負担と見なしている。カルドス=ニーハイムの経験は、その逆を示している。彼の法学の学位は、より優れたAIプロダクトを構築するうえで最も価値があったのか。それとも、売却に至るまで十分長く存続できる堅固な会社を築くうえで価値があったのか。

「法学の学位はモデルをより良くした。何が正しいかを教えてくれたからだ」と彼は言う。「同時に、売却も可能にした。プレレベニュー段階の買収は、ほぼ全面的にデューデリジェンスに基づいて買われる。IPの譲渡、雇用条件、そして手元にあるデータで訓練する権利がそもそもあったのかを決めるデータ権利だ。

「私たちの会社はクリーンだった。私がクリーンとは何かを知っており、自社の契約書を自分で読めたからだ。説明してもらうために費用を払う必要はなかった。どちらかを選べと言われれば、学位はプロダクトを改善し、会社を救った」

(forbes.com 原文)

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事