・世界のエネルギー供給をめぐるリスク
10月初め現在、ホルムズ海峡を通過する石油輸送は増えているものの、イランによる妨害も断続的に受けている。こうした状況では、世界のエネルギー市場は紅海の海上輸送が途絶する事態に耐えられる余裕はほとんどない。
2026年4〜6月期にバブ・エル・マンデブ海峡を通過した石油は1日平均約800万バレルに達し、前年同期から大幅に増加した。イランをめぐる紛争の影響で、石油の迂回輸送ルートとして使われたためだ。
米銀JPモルガンのエネルギーアナリストは、バブ・エル・マンデブ海峡を通る石油輸送に支障が生じれば、世界の原油価格は1バレルあたり20ドル上昇する可能性があると指摘している。原油価格は現状すでに1バレル100ドル前後で推移しているだけに、この規模の価格上昇が現実のものになれば、世界の経済成長とインフレに大きな悪影響を及ぼすことになるのは間違いない。
・より広範な地域紛争にエスカレーションするおそれ
地上戦はこれまでフーシとイエメン政権軍の間で行われてきたが、フーシの支配地拡大を受けて、武力衝突は今後数週間で拡大するのではないかと危惧されている。サウジによるフーシの目標に対する空爆と、フーシによるサウジの都市やエネルギーインフラに対する攻撃の応酬により、サウジだけでなく、フランスやトルコ、パキスタン、さらには米国といったパートナー国・同盟国も関与する可能性があり、より広範な地域紛争に発展することへの懸念が強まっている。
サウジのパートナー国や同盟国が提供する支援は、防空システムの配備や戦術情報の共有、航空支援となる公算が大きい。現時点で、これらの国々が大規模な地上部隊を派遣する兆候はない(編集注:サウジとトルコ、パキスタンは5日、3カ国の共同防衛協定に基づき、トルコとパキスタンによるサウジへの迅速な部隊配備のため必要な措置を講じることで合意した。派遣部隊の規模や役割は不明だが、防衛目的の支援にあたるとみられる。パキスタンはこれとは別に、今年すでに数度にわたり軍部隊をサウジに派遣していることが報じられている)。
米国の軍事顧問団がすでにサウジに派遣され、イエメン情勢への対応を支援しているという報道もある。さらに、イスラエルがこの紛争に引きずり込まれる可能性もある。フーシがイランを強く支持していることやガザでの衝突に関連して、イスラエルは過去数年、フーシからミサイル攻撃を受けている。


