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アジア

2026.10.08 14:15

1974年の朴正熙大統領銃撃を扱った映画『暗殺者(たち)』が韓国で上映差し止めの騒動に

orcea david - stock.adobe.com

映画界は共同で反応

さらに、法的、政治的な動きは多方面に及んでいる。

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まず、イ・ジョンベ前ソウル市議(元国民の力所属)が、9月29日、ホ・ジノ監督と製作陣を虚偽事実の摘示による名誉毀損の疑いでソウル警察庁に告発した。対象には、制作作会社「ハイブメディアコープ」のキム・ウォングク代表と脚本家2人も含まれている。

次いで、上映禁止の動きも出ている。朴正熙大統領記念財団と育英財団が、制作会社の公式謝罪と上映中止を求め、上映禁止の仮処分申請を検討したと報じられた。とはいえ、申請や決定が出たとの報道は、確認できていない。

これに反し、公共機関では団体での観賞を行っている。また釜山映像委員会は、650万ウォン(約76万円)分のチケットを購入して10月5日に市民80人を招く無料試写会を予定していたが、取消となった。
現在、打撃は出演者個人に及んでいる。

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作品で刑事役を演じたユ・ヘジンは、ハンバーガーチェーン「バーガーキング」の広告モデルを務めている。同社のユーチューブ広告動画には抗議のコメントが殺到し、コメント欄が全面的に閉鎖された。

右派団体「新自由連帯」のキム・サンジン代表は、ユ・ヘジンの自宅付近での集会を予告した。公開された届出書には、集会名が「ユ・ヘジン糾弾、『暗殺者(たち)』制作会社糾弾、人数が20人、期間が10月3日から30日」と記されていた。ただし、これも届出が実際に受理されたかどうかは確認されていない。

国民の力の議員経験者であるハ・テギョン保険研修院長は、10月2日、SNSで出演俳優がモデルを務める製品の不買運動や出演作の追放運動を提案した。

イベントも相次いで中止、縮小された。釜山国際映画祭は、10月7日に予定されていた「アクターズハウス イ・ミンホ」を「やむを得ない事情により中止」と発表した。公開2週目の舞台挨拶(10月3日~4日)には、ホ・ジノ監督とユ・ヘジン、パク・ヘイル、イ・ミンホの4人だけが登壇し、助演のリュ・ヘヨン、チャン・リュル、チェ・ユリは不参加だった。制作会社は、安全上の理由で釜山映画祭の関連日程を取り消している。

攻撃は、主演の3人だけでなく、作品に好意的な意見を述べた俳優や評論家にも広がっていると、韓国日報は伝える。ホ・ジノ監督は9月30日公開のインタビューで「映画がこれほど貶められるとは思わなかった。俳優たちも辛い思いをしている」と述べた。

今回の件に関して、映画界は共同で反応した。韓国映画プロデューサー組合は、論争が作品批判を超えて関係者への脅威に広がっていることに「深刻な懸念」を表明した。

韓国映画撮影監督組合も、創作者や俳優個人への攻撃が新しい物語への挑戦の妨げになり得ると訴えた。元MBC社長のチェ・スンホ氏は、朴正熙政権が夫人を殺した犯人だと疑うことは「人間に対する礼儀ではない」と述べている。

では、韓国の世論はどうだろうか。世論調査は限られているが、改革新党系シンクタンクの「改革研究院」が、9月29日、全国の18歳以上1017人を対象に調査した。結果は次のとおりである。

調査は無線RDD(乱数番号)によるARS(自動応答)方式で、応答率は2.25パーセント、標本誤差は加重基準で±3.2ポイントである。調査主体が特定政党に近いシンクタンクである点にも留意が必要だ。

論争が興行に与えた影響をめぐる見方も、割れている。連休明けの10月1日には1日の観客が約5万5000人まで落ち込み、ピークの約8分の1になった。その後、連休の10月3日~4日に再び増え、2週連続で首位となった。

週刊誌の週刊京郷は、俳優と監督が舞台挨拶などの宣伝日程を止めたにもかかわらず首位を維持し、観客も増えた点を「異例」と評している。

問題なのは、事実がどうなのかではなく、「ただの映画」「創作の自由だ」といっても、一般の人のなかにすでに「朴大統領が浮気を隠すため、陸女史を殺した」というある意味荒唐無稽な認識が浸透しつつあるということではないかと思われる。それがまた保守派の人たちにとっては、聖域を汚された思いにかられるのだろう。

文=アン・ヨンヒ

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