街の発展を「選べる人生」で測る
前橋から問い直せるのは、都市の未来の考え方である。訪れる人が増え、経済が動くことは大切だ。そのうえで、場所をつくった後にも、仕事は続いていく。家賃を払える水準に保つこと、商いが続くよう支えること、新しいやり方を試せる余地を残すこと。その積み重ねのなかで、場所は少しずつ、誰かの人生の選択肢になっていく。
考えるべきは、そこで暮らす人が、どれほど自分の生き方を選べるようになったかである。残ることも、外へ出ることも、戻ってくることも選べる。期待される役割を断ることもできる。街の変化に加わる人も、自分の日々を静かに続ける人も、その場所で生きていける。そうした自由を支える場所が増えることが、街の発展と呼ばれるのではないだろうか。
田中さんが引き受けてきた不確かさの先には、まだ誰にも描き切れない他者の人生がある。その人たちが、自分の望みを持ち込み、場所の意味を変えていく。そこまで含めて未来をひらくことに、私はこの仕事の可能性を見る。
いつか、次の踊り手が「ここでも踊れる」と言える。その言葉が希望だけで終わらないように、いま、場所をつくり、支え続ける人がいる。辺境から生まれる未来を、私は、その仕事と、そこから動き出す一人ひとりの人生のなかに見ている。


