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経済・社会

2026.10.08 10:30

中国の特許出願は約180万件で米国の3倍超、米中の知財対立は安全保障の争いへ形を変えた

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諜報活動への警戒で政策を決めると、自国が使える技術まで狭まる

この境目のあいまいさこそが、ヨーが本当に論じていたことである。ヨーによれば、諜報活動はどの国も行っている「スパイ対スパイのゲーム」であり、おそらく米国はどの国よりも盛んにそれを行っている。この駆け引きは決して終わらないが、管理することはできる。そして、これに政策を左右させてはならないとヨーは言う。ヨーが判断の基準として持ち出すのが、免疫系のたとえだ。免疫は欠かせないが、過剰に働けば、守るはずの体そのものを傷つけてしまう。ヨーの説明では、ファーウェイの締め出しは、中国にある能力を持たせないようにした一方で、西側自身がファーウェイの技術を利用する道も狭めた。その結果、西側の5Gは中国に後れを取ったという。この最後の主張には異論の余地がある。ファーウェイはスマートフォンや先端半導体の分野で大きな打撃を受けたうえ、5Gの優劣は、何を物差しにするかで変わるからだ。とはいえ、あらゆる技術の問題を安全保障の問題として扱えば、代償を伴う。そのことは紛れもない事実である。

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供給元の国籍で安全は決まらない──全方位の信頼で栄えるシンガポール

ヨーの論理には、小国ならではの立ち位置が表れている。ここで言う小国とは、大きな国内市場を持たず、身を寄せる陣営もなく、貿易に頼って生きる国のことだ。こうした国にとって、特定の国の供給業者なら安全だと決めてかかることには、得るところがほとんどない。締め出せば安全が手に入ると考えることも、同じである。小国の繁栄は、あらゆる相手から同時に信頼されることの上に成り立っている。シンガポールは、外国の投資家を安心させるために、アジアで最も強固な部類と広く評される知的財産制度を維持する一方、経済の必要から、アジアのサプライチェーンに深く組み込まれたままでいる。なぜそうしているのかも、そう考えるとある程度説明がつく。ファーウェイについての2019年の答えと、知的財産についての2024年の答えには、ヨーの1つの発想が共通している。問題をひとまとめにせず、具体的にどこに危険があるのかを見きわめ、それに見合った対策を講じるという発想である。

自国の営業秘密を奪われていない側が説く冷静さは、都合がよすぎないか

もっとも、批判はヨーの見方にも向けられる。小国の現実主義は、都合のよい等距離外交に流れかねない。それに、冷静になれと説くのは、持ち出されたのが自分の営業秘密でないときのほうがたやすい。国家主導の技術取得は正当な不満の種であって、米国の作り話ではない。そして、ヨーの「おのずと解決する問題」という見立ては、サイバー攻撃による窃取よりも、海賊版のほうにはるかによく当てはまる。

特許紛争を安全保障問題にする前に、何が弱点で誰が得をするのかを問うべきだ

それでも、ヨーが投げかける問いは正しい。正確には、何が危険なのか。それを取り除けば、誰が得をするのか。そして、その対策は、ほかのすべての人にどれだけの負担を強いるのか。世界中に散らばるアイデアと資本、サプライチェーンの上に成り立つ業界にとって、これらは、次の特許紛争が国家安全保障の案件として持ち込まれる前に、問うておく価値がある。

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(forbes.com 原文)

翻訳=酒匂寛

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