欧州

2026.10.05 08:00

EU、凍結ロシア資産の活用に向けた議論を再開 ウクライナ支援に向け

ベルギーの首都ブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)首脳会議に出席した欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長(右)、欧州理事会のアントニオ・コスタ議長(左)、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領。2026年6月18日撮影(Daniel Gnap/NurPhoto via Getty Images)

EU加盟国の首脳らは2025年10月、凍結されたロシア資産を活用し、ウクライナ向けの賠償融資を設立しようと試みた。だが、数カ月にわたる交渉の末、この計画は実現には至らなかった。凍結資産の活用に反対するベルギーは、資産を動かした場合、ロシアからの報復や訴訟を招く恐れがあると警告している。ベルギーは凍結資産を活用することによる財政的負担についても懸念を示している。ロイター通信によると、凍結されたロシア資産のうち1850億ユーロ(約33兆円)は、ベルギーの証券決済機関ユーロクリアに保管されている。同国はロシアの凍結資産の活用に一貫して反対し続けてきた。欧州中央銀行(ECB)も、凍結資産を活用すればユーロへの信頼が損なわれる恐れがあると警告している。

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EU首脳らは2025年12月、ウクライナに対し900億ユーロ(約16兆円)の融資を行うことで合意した。これに先立ち、EUは緊急条約規定を適用し、ロシアの資産を無期限に凍結する措置を講じていた。これにより、EU加盟国が拒否権を行使できる6カ月ごとの更新手続きが撤廃された。

EUは、数回に分けて提供されるウクライナへの融資が「2026~27年の最も緊急性の高い予算項目と防衛産業の要求」を賄う一助になると説明している。合意条件に基づき、ウクライナは融資の返済義務を負うが、その時期は賠償金を受け取った後とされている。さらにEUは、凍結資産を返済に充てる権利を留保している。

こうした状況下でも、ウクライナに対する追加支援を行うべきだと考える欧州の閣僚は少なくない。エストニアのマルティン・ヘレム国防相は9月、EUはロシアの凍結資産をウクライナ支援に活用すべきだと述べたほか、アイルランドのヘレン・マッケンティー外相は、同資産を「選択肢として残しておくべき」だとの見解を示した。ポルトガルのパウロ・ランゲル外相もベルギーの懸念には理解を示しながらも、ロシアの凍結資産の活用を支持した。

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凍結資産を巡り、一部の欧州諸国が対応を急ぐ中、ロシア側も独自の措置を講じた。ロシア中央銀行は3月3日、ロシア資産の無期限凍結を不服として、ルクセンブルクにあるEU司法裁判所の一般裁判所に異議を申し立てたと発表した。5月には、モスクワの裁判所が凍結資産を巡り、ユーロクリアに対しロシア中央銀行への賠償を命じる判決を下した。ユーロクリアは控訴したが、ロシアの裁判所は7月、控訴を棄却。ロシア中央銀行への賠償を命じる判断を維持した。だが、ロシアの裁判所にはEU域内での執行権限がないため、今後の展開は不透明だ。

ロシアの凍結資産を巡る動きが活発化する中、来たる欧州理事会でどのような議論が展開されるかが注目される。EUが凍結資産の活用に踏み切れば、ロシアにウクライナ侵攻の代償を払わせるだけでなく、戦時下で他国の国家資産を利用する先例となるだろう。これにより、国際法の解釈を巡る広範な議論が巻き起こるかもしれない。

(forbes.com 原文)

翻訳・編集=安藤清香

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