欧州連合(EU)加盟27カ国の首脳は15~16日、ベルギーの首都ブリュッセルで開催される欧州理事会(EU首脳会議)に出席する。同会議では、中東情勢や欧州の防衛強化、移民問題、財政のほか、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対する支援について協議される。
2日間にわたる会合に先立ち、欧州議会の議員122人がEU首脳宛ての書簡に署名し、凍結されたロシア資産をウクライナ支援のために活用することについて、改めて議論するよう求めた。書簡の中で、議員らは、ウクライナ侵攻によって生じた損害をロシアが賠償すべきだと訴えている。欧州のニュース専門放送局ユーロニュースによると、欧州議会議員らは、これらの凍結資産を「ロシア中央銀行に対する法的義務を負う新たなEUの枠組み」に移管することを提案した。
凍結されたロシア資産の扱いを再検討するようEUに求めているのは、これらの議員だけではない。8月には、スウェーデン、オランダ、ポーランド、スペインのEU加盟4カ国が連名で書簡を提出し、ウクライナに対する短期的・長期的な財政支援の必要性を訴えた。その中で、4カ国は「ウクライナの利益のために、ロシアの凍結資産をいかに活用するかという問題に立ち返るべき時が来ている」と強調した。
2022年2月にロシアが軍事侵攻を開始して以来、EUはウクライナに対し、総額2245億ユーロ(約40兆円)の支援を行ってきた。その内容は、人道支援や財政支援から武器や防衛装備の供与に至るまで多岐にわたる(一方、米国は2022年2月以降、総額1950億ドル(約31兆円)超の対ウクライナ支援を計上している)。
戦闘が長期化する中、欧州はウクライナ支援の新たな方法を模索し始めている。こうした動きを背景に、凍結されたロシア資産を活用すべきだとする声が欧州の一部で再び高まっている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は8月、同国の国防省が231億ユーロ(約4兆円)の資金不足に陥っていると警告した。同大統領は、戦時下での人員の維持や社会的支援、武器の調達にこれだけの資金が必要だと説明した。
英ロイター通信によると、欧州は2100億ユーロ(約37兆円)相当のロシア資産を凍結している。この凍結資産をウクライナ支援に充てるべきだと主張する人々は、そうすることでEUの財政的圧力が緩和されると同時に、自らが引き起こした戦争の代償をロシアに支払わせることができると考えている。また、ウクライナはこの資産を政府の施策や国防費、復興支援の財源として活用することができるとしている。



