多くの企業はミッションを掲げているが、実際にそのミッションに基づいて事業上の意思決定を下している企業は、はるかに少ない。
私にとって、当社のミッションは優しさに根ざしており、女性をサポートし、彼女たちが自分自身の本当の美しさと力強さに気づくのを助けることである。しかし、それがマーケティングに表れるだけでは、大した意味を持たない。ミッションは、私たちのリーダーシップのあり方、協働する相手、創造するもの、そして人々への接し方に現れなければならない。
私は常に自問している。「これは優しさに基づいたリードができているか?」「これはどこから来ているのか?」「誰が恩恵を受けるのか?」といった問いだ。
事業のあらゆる側面が、優しさと女性への支援を体現していなければならない。そうでなければ、採用しない。私たちのミッションは、事業において絶対に譲れないものの1つである。資金、露出、機会に関係なく、何かが合致しないのであれば、私たちはそれを行わない。
そこから、ミッションは現実のものになり始める。
ミッションを意思決定のフィルターにする
目の前にある決断が容易なものであるとき、自らの価値観に忠実であり続けることは簡単だ。より困難な試練は、魅力的に見え、華やかでエキサイティングな話が舞い込んだときに訪れる。
明日、世界最大級の美容企業が提携を求めて当社にアプローチしてくるかもしれない。もしその企業が、優しさを広め、女性を高めるという方針に合致していなければ、どれほどの知名度を得られるとしても関係ない。答えは「ノー」でなければならない。
なぜなら、最終的にはミッションを明確に保ち続けなければならないからだ。単なるマーケティングツールであってはならない。ビジネスにおいて、そのことを見失うのはあっという間だ。スタートアップを成長させた経験のある優秀な役員を採用することもできるだろう。彼らはプレイブックを携えてやってきて、あなたが「すべき」ことを正確に教えてくれる。それが賢明で簡単に思えるために従っていると、突然ブランドを見失ってしまう。ミッションを失ってしまう。そもそもなぜ自分が深夜2時まで起きて会社を立ち上げていたのか、その理由を見失ってしまうのだ。
時に、簡単な答えが正しい答えとは限らない。
最前線でミッションを可視化する
ミッションは、サービスを提供する人々にとっても具体的なものでなければならない。私たちにとって、それは教育と製品という、切っても切り離せない2つの事柄から始まる。
当社のスタイリストは、顧客と直接接する非常に重要な存在だ。彼らは製品だけでなく、その背景にある理由や、その製品がどのような人々を助けるためのものであるかを理解していなければならない。
そして、製品そのものが機能しなければならない。すべての製品が極めて緻密に考え抜かれていなければならない。すべてのカラーが同じレベルの配慮と意図を持って選ばれなければならない。多様な女性が手に取りやすいものでなければならず、謳い文句通りの効果を発揮しなければならない。
良い例が、当社のヘアトッパー(部分ウィッグ)だ。最もシンプルな表現をすれば、その目的は女性に髪を取り戻してもらうことである。この分野に取り組み始めたとき、私はトッパーの専門家ではなかった。しかし、スタイリストたちにその解決策を必要とする女性たちへのサービスを求める前に、まず自分が専門家にならなければならないと確信していた。スタイリストたちのスキルを引き上げ、そして製品自体が期待に応えるものでなければならなかった。
そこに、ミッションと実行の接点がある。誰かの人生を変えることを大切にしていると言いながら、質の低い製品、不十分な教育、劣った体験を提供することはできない。品質もまた、ミッションの一部なのだ。
現場の目線を保つ
ブランドが犯す最大の過ちの一つは、自社の顧客と乖離してしまうことだ。顧客像のモデルを構築しようと必死になるあまり、現場に降りて顧客と直接つながるという、最もシンプルなことを見落としてしまうことがある。
それこそが、私の実践しようとしていることだ。私は今でも現役でヘアスタイリングや変身(トランスフォーメーション)の施術を行っている。経営者として、これほど顧客の近くに居続けることは、私にとって極めて重要である。女性たちが実際に何を体験しているのかを、肌で感じ続けることができるからだ。
私は耳を傾けている。人々の声を聞いている。多様な顧客とそのニーズに注意を払い、その情報をビジネスへと還元している。
顧客に耳を傾け、つながり、対話をして実際に何が起きているのかを理解しようとすれば、何がうまくいき、何がうまくいかないのかを顧客自身が教えてくれるだろう。
ロイヤルティを期待する前にコミュニティを築く
私は、人々は「企業」から買うのではなく、「人」から買うのだと強く信じている。私たちが購入する本当の理由は「つながり」であり、ロイヤルティ(忠誠心)が芽生えるのも多くの場合そこである。
ロイヤルティの高いコミュニティを構築することは、企業と顧客の間の接点を生み出す。顧客とのつながりが深まるほど、彼らが直面している状況を理解できるようになり、彼らの課題に対してより効果的な回答や解決策を提供できるようになる。顧客と同じ目線に立つことができれば、ロイヤルティははるかに自然に育まれる。
ただし、コミュニティを単なる販売戦術の一つにしてはならない。まずは人々のために、有用で有意義なものを生み出す必要がある。人々に貢献し、理解し、現実の課題を解決する手助けをすれば、本来すべきことをしていることになる。ロイヤルティやリピートビジネスは、その結果として自ずとついてくるのだ。
成長過程でミッションを守り抜く
会社が成長するにつれて、これらすべての一貫性を維持することは難しくなる。一貫性はトップから始まらなければならない。経営陣がビジネスの理念を体現していなければならない。トップで起きていることは、やがて顧客へと伝わっていくからだ。
それには採用の選択も含まれる。私は、その人が他者をどう思い、現実の状況にどう対処するのかを重視する。助けを必要としている人がいるとき、どう反応するか。日常生活で他者にどう接しているか。他人の立場になって考えることができるか。自己認識能力は極めて重要である。あなたの言葉、行動、そして身のこなしが人々に影響を与えるからだ。
すべての決断において正しい選択ができる企業など存在しない。見落としが生じることもある。だからこそ、妥協できない一線(ノンネゴシエイブル)は、決して妥協してはならないのだ。それを見失えば、真っ先に気づくのは顧客である。
ミッションが具体的な形を持つのは、誰も見ていないとき、あるいは安易な選択肢が目の前にあるときに、下す決断をそのミッションが方向づけるときである。魅力的に見え、華やかで美しく思えるからといって、それが正しい決断とは限らない。時に、自らが築き上げてきたものを守ることは、自らのミッションに忠実であり続けるために、あえて流れに逆らうことを意味する。
そして、それこそが真の核心なのだ。ミッションとは、口で言うだけのものではない。常に選び続けるものなのだ。



