リーダーシップ

2026.10.03 11:36

完璧なリーダーを求める企業の落とし穴

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採用活動が容易だったことなど一度もない。

私はこれまで、売り手市場、買い手市場、不況期、急成長期、そして人材不足の時代に至るまで、あらゆる局面で採用活動に携わってきた。市場の動向が重要であることは間違いない。それは候補者の流入や報酬、交渉力、そして優秀な人材を獲得するために必要な最低条件に影響を与える。しかし、AIは仕事のあり方を変えつつあり、その結果、私たちがリーダーに求める資質をも変化させている。

テクノロジーは、大半の企業が追いつけないほどの速さで進化している。投資家は規律ある成長、より高い利益率、そして収益化への明確な道筋を求めている。取締役会は、野心を犠牲にすることなく効率性を追求することを望む。創業者は、より少ないリソースと、ミスの許されないプレッシャーの中で、より価値のある企業を築くことを求められている。

これらすべてが相まって、新たなエグゼクティブ像が作り出された。それは、「水の上を歩ける(奇跡を起こせる)」リーダーである。

私たちが求めているものは不可能だ

現在のほぼすべてのエグゼクティブ評価シートを見てほしい。企業は、戦略的でありながら実務にも深く精通している人材を求めている。ビジョンを掲げつつ、泥臭い仕事も厭わない人物だ。売上高を2000万ドル(約31億5000万円)から1億ドル(約158億円)規模に拡大した実績を持ちながら、ゼロから立ち上げることに今なお情熱を燃やす人材を求めている。大企業での経験は必要だが、お堅い組織人であってはならない。スタートアップでの経験も必要だが、洗練さを欠いていてはならない。AIを理解し、組織を改革し、人材を育成し、取締役会を管理し、優秀な人材を惹きつけ、効率的に業務を遂行し、収益を成長させることが求められている。

理想を言えば、最適な候補者は、まさに自社が直面しているのと全く同じ課題を、全く同じ業界、全く同じ成長ステージで解決した経験を持っていることだ。その上、自社の文化に完璧にフィットしつつ、文化の変革者でもある必要がある。経営陣に馴染みつつも、彼らに異を唱えなければならない。これまでに築かれたものを尊重しつつ、それを変える意欲を持たなければならない。周囲を巻き込みつつ、厳しい決断を下さなければならない。恐怖心を植え付けることなく、基準を引き上げなければならない。文化を守りながら、文化を変えることを求められている。成長を牽引しながら、収益性を守る。より速く動きながら、持続可能に構築する。

優秀なリーダーの採用が困難なのは、有能な候補者が不足しているからではない。求める期待値の側に問題があるからだ。

過度に厳格な採用プロセスがもたらす弊害

長年にわたり、特に急成長するテクノロジー分野において、企業は「チームを構築し、市場シェアを獲得し、売上を増やす」という、極めて明確な成長の使命に基づいてエグゼクティブを採用することができた。しかし、今日のリーダーに求められる役割が拡大したことで、その状況は一変した。成長が重要であることに変わりはないが、現在のリーダーは、効率性を高め、利益率を守り、AIを導入し、生産性を向上させ、投資家に対してすべての資金と人員が価値を生み出していることを証明しながら、成長を達成することを求められている。私たちはもはや、リーダーに「成長」か「効率」かの選択を迫るのではない。その両方を期待しているのだ。これはもっともな変化だが、あまりにも行き過ぎているように思われる。

私たちは恐怖に突き動かされて採用を行っている。状況の重要度が高まるにつれ、企業は意思決定からあらゆるリスクを排除しようとし始める。その結果、評価シートの項目は増え、面接プロセスは長期化し、プロセスに関わる人数も増えていく。並外れた候補者が現れても、過去にこれと全く同じ経験がないという理由で妥協しない。別の優秀な候補者が現れても、全く同じカテゴリーでの経験がない。さらに別の候補者は、チームからの評判は良いが、戦略性に欠けるように見える。そして報酬の話になると、金額の高さに驚き、企業は再び市場へと戻っていく。

60日だったプロセスは90日に、そして120日へと延びる。人事チームは疲弊し、採用責任者は不満を募らせ、優秀な候補者は興味を失うか辞退していく。ある時点で、企業はもはや優秀なリーダーを探しているのではなく、「この採用が決して失敗しないという証拠」を探している状態に陥る。しかし、そのような証拠が見つかることは決してない。

真に重要なことに集中すべき理由

エグゼクティブ採用からリスクを完全に排除することはできない。規律ある探索を行い、適切に評価し、入念なリファレンスチェックを重ね、彼らがどのように指導し、意思決定を下すかを理解することはできる。しかし、完璧なエグゼクティブなど存在しない。企業が完璧な存在を執拗に求めるとき、真に卓越したリーダーを見落とすことになる。それは、勤勉さを装った「優柔不断」にすぎないこともある。また、誰もが採用プロセスをより安全にしようとするあまり、別のリスクを生み出している。最良の候補者が去り、人事チームが燃え尽き、ビジネスは必要なリーダーを欠いたまま、また次の四半期を迎えることになるのだ。

では、私たちは実際に何を求めるべきなのだろうか。それは、生まれ持った才能、判断力、そしてリーダーシップの哲学である。明快な答えがない状況で、その人物がどのように考えるのかを知りたい。どのようにチームを構築するのか。お気に入りの部下のパフォーマンスが低下したとき、どう対処するのか。CEOと意見が対立したとき、どのように決断を下すのか。自身の戦略が失敗したとき、どう行動したか。彼らを追って次の会社へと移籍した部下は誰なのか。

候補者が実際に何を達成したかという証拠を深く掘り下げることだ。企業が成長する過程でそこに「在籍していただけの人物」と、実際にその「成長を作り出した人物」との間には、とてつもない違いがある。自分が面接しているのがどちらの人物なのかを見極めなければならない。

AIの普及により、この重要性はさらに増している。テクノロジーは情報を分析し、要約し、シナリオをモデル化し、優秀なエグゼクティブの仕事を劇的にスピードアップさせることができる。しかし、悲惨な決算の後に信頼を再構築することや、懐疑的な取締役会の信頼を勝ち取ること、あるいは極めて優秀な人材に対して、恵まれた仕事を辞めて不確実な未来に自分と共についてくるよう説得することはできない。AIは人々に信念を抱かせることはできない。それこそが、真のリーダーシップである。

明確で現実的なエグゼクティブ採用を

優秀な候補者が辞退し続けるのであれば、採用プロセスを見直すべきだ。最終候補者全員に致命的な欠点があるように思えるなら、評価シートを疑うべきだ。最終段階になって報酬額に驚くのであれば、初期段階でのすり合わせが不十分だったということだ。そして、すでに3人の優秀なリーダーに出会っているにもかかわらず、まだ他に誰かいないかと探し続けているのであれば、自分が一体何を待っているのかを自問してほしい。優れたリーダーの採用には厳格さが必要だが、同時に確信も必要なのだ。

水の上を歩けるようなリーダーを探す必要はない。自社が次に真に必要としているものを明確にし、それを達成するための才能、判断力、実績、そしてリーダーシップ哲学を備えた人物を見つけることだ。それは基準を下げることを意味しない。基準のどの部分が本当に重要なのかを理解することを意味する。そして、その基準をクリアする人物が見つかったなら、迷わず行動に移すべきである。

(forbes.com 原文)

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