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スポーツ

2026.10.07 10:15

メダル数と経済効果だけではない、国際スポーツ大会自国開催の真の価値とは

日本オリンピック委員会(JOC)小谷実可子常務理事

実際に練習を始めると、様々な発見があったという。「私自身、もうシンクロの全てを語れると自分でも思っていたんですけど、男性が加わることで、演技がすごいダイナミックになったり、リフトもそれまでなかったような高さになったり、男性が加わると競技の魅力もこんなに膨らむんだという大きな気づきもありました」。

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小谷氏は現状に満足してはいない。「女性スポーツ委員会などがなくなるのが理想。女性のことを考える委員会がある時点でまだ、まだまだということ」。ジェンダー平等についての進歩と課題の両方を的確に言い当てている。

「頼まれたからには実績を残す」

小谷氏は1997年、国連総会に民間人として初めて出席し「スポーツと平和」をテーマにスピーチを行った。 

その背景には、翌年に控えていた長野1998冬季五輪における「オリンピック休戦(オリンピック・トリュース)」の採択という重要なミッションがあった。開催期間中に世界中での戦闘行為を一時停止するよう求める「オリンピック休戦決議」を提議し、これは全会一致で採択された。

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女性として若くして国際舞台に立つに至った過程では、様々な助言があったという。国際会議に初めて出席する際、男性の先輩委員からこう助言された。「せっかく会議に出るのだから、色の着いた服を着て行きなさい。男性はみんなダークスーツを着ているから、華やかな色を着て参加したほうがいい。日本人は黙って座っている“石”になっている人が多い。だから、どんどん発言しなさい」。助言通りに積極的に発言を重ねた結果、小谷氏は国連総会で初めてスピーチした民間人になった。抜擢したIOC関係者に理由を尋ねると、こう返されたという。「君は女性なのに会議で積極的に意見していた。ぜひ女性を抜擢したいと思い、君を推したんだ」。 

キャリア観についても率直に語る。「私自身は、このポジションにつきたいとか、この委員をやりたいなどと思ったことはないんです。すべて周りの人に推していただいた、機会を大切にしてきた結果なんです」。

アジア大会に見る日本の価値

インタビューの最後、アジア大会を通じて日本が学べることは何かと問われた小谷氏は、次のように総括した。 「やはり日本のおもてなしは素晴らしい。いろ色な困難をカバーしているのはボランティアの方々であり、おもてなしの精神だと思います。これは、日本の武器だと日々感じています」。2028年東京開催が決定したアーバンスポーツの五輪予選についても、新しい大会運営モデルへの期待を語った。「JOCがリーダーシップを発揮し、東京都の素晴らしいノウハウを持つ人たちと一緒に、スポーツとユースカルチャーの融合にチャレンジするこの大会は、今後の国際大会招致や組織運営のロールモデルになり得るイベントだと思います」。 

メダルの数、経済効果、開催コスト——国際大会を語るときに使われがちな物差しだ。

小谷氏の言葉からは、自国開催が順位を競う場にとどまらず、アスリートにとっての最高の幸福であり、おもてなしや運営力といった国力、『女性スポーツ委員会が不要になる未来』に象徴されるジェンダーバランスまで、社会を一歩前に進める力を持つことが浮かび上がる。

アジア大会が終わったいま、われわれはそうした新しい価値を再確認すべきであり、国際スポーツ大会の意義が、きっとそこにある。

文=松永裕司

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