米海軍唯一の前方配備空母で日本の横須賀を母港とする「ジョージ・ワシントン(CVN-73)」は5月に哨戒任務を開始し、7月には南シナ海で作戦行動をしていた。だが、エイブラハム・リンカーンの乗組員の士気に問題が生じていると報じられたあと、中東への派遣を命じられた。
実はエイブラハム・リンカーンも、アラビア海に派遣される前、南シナ海で哨戒任務に従事していた。南シナ海は、中国が自国の主権や管轄権を主張している海域だ。この春先の大半の期間、西太平洋には米海軍の空母のプレゼンスがなかった。ジョージ・ワシントンは、今後数週間のうちにセオドア・ローズベルトと交代するまでは中東にとどまり、その後、横須賀に戻る公算が大きい。
ごく短期間ながら、中東に米空母が3隻同時に展開していたこともあった。ニミッツ級空母の最終10番艦で東海岸のバージニア州ノーフォーク海軍基地を母港とする「ジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)」は4月、アフリカをぐるりと回る長い航路で中東に入った。これにより、ジェラルド・R・フォードはようやく交代して帰途につけたのだった。
そのジョージ・H・W・ブッシュの展開期間もすでに183日におよんでおり、クリスマス休暇までに帰国できない可能性がある。
長期展開中の艦内環境について調査を求める声
米海軍は、長期任務では乗組員に負担がかかることを認めている。エイブラハム・リンカーンでは今夏、乗組員8人が自殺を図った。
選挙区にサンディエゴが含まれるサラ・ジェイコブズ下院議員(民主党、カリフォルニア州)ら米連邦議員は9月27日、洋上のエイブラハム・リンカーンを訪問し、艦の指揮官らのほか、乗艦している海軍軍人や海兵隊員と面会した(編集注:USNIニュースによると、エイブラハム・リンカーンは同日時点でハワイ近海を航行していた)。
「わたしは数カ月にわたり、エイブラハム・リンカーンでの郵便物の遅配や食料・物資の不足、士気の低下、精神衛生面の危機について、寄せられた懸念をCENTCOM(中央軍)と海軍に直接伝えてきました」とジェイコブズは声明で述べている。「残念ながら、返ってきた回答はまったく不十分なものでした」
ジェイコブズは、展開中のエイブラハム・リンカーンの艦内環境について、米海軍監察総監による調査を求めている。また、乗組員から直接話を聞くため、下院軍事委員会にサンディエゴでの現地公聴会の開催も働きかけている。


