新納:ずっと言い続けてきたことが、世の中に理解されるようになった感覚があります。とはいえ、私たちがつくっているのは単なるAI議事録ではありません。AI議事録の価値を否定はしませんが、情報共有だけでは失っている宝が山ほどある。本当に見ているのは、記録したデータをどう生かすか、その先の部分なんです。直近では、あるテレビ通販番組で成果が出た事例もあります。「ベテランはなんかうまい」という“なんか”を言語化できないことが新人育成の壁でしたが、会話データを解析すると、「お客様が求めている価値や体験」を自分の言葉で伝えていることがわかりました。Front Agentを利用したキャストの担当番組では予算達成番組の割合が導入前と比べて約1.45倍に増えています。
古谷:対面営業とテレビ通販、一見畑違いの現場で同じ課題が起きているのは示唆的ですよね。属人的なスキルに頼っている現場ならどこでも通用する技術だと思います。
新納:もともとBtoBの対面営業や高単価商材を中心に足元を固めてきましたが、会話が起こる場所であればBtoCでも同じように機能することが、テレビ通販の事例で実証できました。一方で、事業として見据えているのが「AIが自律成長するインフラ」です。生成AIを活用する企業が増えましたが、組織利用となると、意外と活用しきれずに困っている企業が多いです。企業が求めるAIを自然とつくり上げていく。そこに布石を打ちたいですね。
古谷:リードの数に頼る営業には限界があるため、クロージングの質を上げるアプローチは、これから欠かせなくなります。企業内の非構造化データをAI時代の競争力に変換するという、将来のスタンダードを定義する存在になりうると信じています。
ふるや・けんたろう◎自身での起業、海外企業の日本法人設立、新規事業開発を経て、クオンタムリープに参画。出井伸之氏のアシスタントを務め、クオンタムリープベンチャーズを独立創業し、代表パートナーとして日米でシード特化VCを運用。(写真左)
にいろ・ひろたか◎電気通信大学知能機械工学卒。電気通信大学と東京大学で神経接続義手を研究。2012年4月にヤマハ入社。事業開発、人材育成で社長賞3回受賞を経て、19年5月にUmee Technologiesを設立した。(同右)


