米国でTikTokの運営を新会社へ移した背景と出資構造
米国では、バイトダンス傘下のTikTokが法律上の「適格な事業分離」を行わない場合、アプリストアやインターネット・ホスティング事業者による米国内でのTikTok提供が禁じられる仕組みが導入された。2025年9月の大統領令では、米国版TikTokを新設の米国合弁会社が運営し、バイトダンスの持ち分を20%未満とする枠組みが認められた。
この枠組みに基づき、TikTok USDS Joint Ventureは2026年1月に発足した。米国版アプリと利用者データを管理し、利用者ごとに表示する投稿を選ぶ推薦アルゴリズムの安全確保も担う。今回の報告書は、新会社が米国事業の運営を引き継いだ後に作成した初の米国向け経済効果報告書であり、TikTokが米国経済で果たす役割を示す材料でもある。
新会社の所有構造では、投資会社シルバーレイク(Silver Lake)、オラクル、アブダビの投資会社MGXが持ち分をそれぞれ15%保有する。バイトダンスの持ち分は19.9%となっている。
TikTok USDS Joint Ventureで米国の公共政策を統括するニコール・ネイソンは、TikTokが多くの中小企業にとって顧客を呼び込む主要な「店頭」の役割を果たしていると述べた。「TikTokが各社のマーケティング部門なのです」。
企業5000社の調査で見えた、TikTokが顧客獲得に果たす役割
PF Globalのディレクター、ダマヤンティ・チャタジーは、同社がTikTokを利用していない人や企業も含め、米国の成人1万1000人超と企業5000社を調査したと説明した。回答結果を政府統計やTikTokのデータと組み合わせ、TikTok広告が売上につながり、生じた売上がサプライチェーンへ波及する過程をモデル化したという。
報告書では、TikTokを利用する企業の84%が、TikTokを使わなければ接点を持てなかった顧客に届くようになったと答えた。93%は、TikTokで宣伝した後に売上が増えたと回答した。いずれも報告書が示した数字で、独立した検証は行われていない。
1本の動画から来店客が55%増えた飲食店の事例
TikTokが事例として取り上げたのは、米フロリダ州中部でBig Lee’s Barbecueを営むラシャド・ジョーンズだ。ジョーンズは、2024年が事業にとって最も厳しい年となり、どの広告やマーケティング施策を試しても来店客を呼び込めなかったと説明した。
ジョーンズは2025年2月、ほとんど使っていなかったアカウントに動画を投稿し、2025年3月には再生回数が10万回に達したという。2026年には来店客数が55%増え、売上も2桁の伸び率になったとジョーンズは説明した。来店客数と売上の数字はジョーンズ自身が示したもので、独立した検証は行われていない。
TikTokは、報告書の統計を紹介する制作動画にジョーンズを登場させた。「認知されることが売上につながります。ただし、自分で制御できるのは、自分のコンテンツを投稿することです」。


