教育

2026.10.05 16:00

デカルトとルソーも学ぶ米大学のAI講座、思考力低下を恐れる若者たち

Gorodenkoff/stock.adobe.com

「盲目的に頼っている自分に気づいた」

この講義の推進力となっている原則は、AIが人間の思考に与える影響を理解するためには、まず何が人間の思考を構成しているのかを探求する必要がある、というものだ。デカルトの有名な言葉「我思う、ゆえに我あり」は、思考が人間の存在の根本であることを示している。課題を論理的に解決しようとしたり、論旨を組み立てたり、新しいことを学んだりするとき、私たちの心の中では何が起きているのだろうか。そして、これらのプロセスは私たちのアイデンティティをどのように形成しているのだろうか。

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人間の思考の本質を掘り下げることは、「この講義で最も衝撃を受けた部分の1つだった。一歩引いて人間の思考の起源や、知識の意味について理解することができたからだ」と語るのは、春学期にこの講義を受け、その後もよく講師陣と議論するために教室に居残っていた4年生のゲイブ・バルッツィ(21)だ。

20人で構成されるこの共同授業には、看護学、人文学、コンピューターサイエンス、ビジネスなど、さまざまな専攻の学生が集まっている。ビジネスアナリティクスを専攻し、環境科学を副専攻とするバルッツィが春学期にこの講義を受講したのは、自身の生活におけるAIの位置づけを再評価したかったからだ。

「考えるのが面倒なときに、自分で頭を使って問題を考え抜いたり、計画を立てたりする代わりに、いちばん簡単な方法であるChatGPTをただ開いている自分に気づいた」と、彼は講義の開始時に提出した振り返りシートに書いている。「自分が時折、盲目的にそれに頼っていると分かった瞬間、疑問が次々と頭を駆け巡り始めた」と、彼はインタビューで付け加えた。「創造的な思考は、私にとって常に非常に重要なものだったからだ」

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同様の講義は他にも

人間の思考や経験という観点からAIを検証しているのは、サンフランシスコ大学だけではない。例えば、ノースカロライナ大学チャペルヒル校では、AIと人類の未来に関する哲学の講義を開講している。アリゾナ州立大学の「生成AIは哲学的知恵を持っているか?」というクラスでは、学生たちが大規模言語モデルと自由意思、意識、懐疑論などのテーマについて対話し、その問いの答えを探っている。

同校と同様に、シカゴ大学でも昨秋、人間の思考の本質と、そこからAIが教えてくれることについて探求する「人工知能の哲学:精神とモデル」という学部生向けの講義が開講され、そのシラバスにもデカルトが登場した。この講義には約75人の学生が登録した。

同大学の哲学教授で、同僚のジェイソン・ブリッジス教授とともにこの講義を担当したベンジャミン・カラードは、大学におけるAI関連の哲学の講義を、技術を「どう使うか」だけでなく、それを使うことが「何を意味するのか」という、より「川上」の問いを設定、答えを試みる場所と捉えている。

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編集=鈴木喜生

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