いま、急速に進化する生成AIとともに成長してきた学生たちは、AI時代の認知をめぐる問いに、当事者として向き合っている。こうした講義は、クリエイティブなコーディングやプロンプト・エンジニアリング、ビジネスや会計などにおける技術の応用を教えるだけにとどまらず、それが人間の経験に与える影響を検証するところまで踏み込んでいる。
ショーは、このような講義を「極めて重要」だと考えている。「大学とは、思考の多様性、知的自立、および批判的思考を育む場所だ」と彼は言う。「それらの目標は、学生に特定のAIツールの使い方をただ教えることよりも、はるかに根本的なものである」
人間の思考を特徴づけるものは何か?
サンフランシスコ大学のミラーとエバートは、当初、春学期に同大学の優等生カレッジ(一定の成績評価が入学条件となる)を通じてこのコースを開講し、秋学期に向けて8月下旬に再び授業を開始した。
この講義では、現代の思想家だけでなく、何世紀も前の基礎的な哲学者であるルネ・デカルト、ジョン・ロック、ジャン=ジャック・ルソーらの思想を紐解きながら、批判的思考や創造性を含む人間の思考に対するAIの影響を探る。ちなみにルソーは、知識や科学、芸術の進歩が、必ずしも人間をより徳の高い存在にするのかどうかを問いかけた人物である。
学生たちはまた、心理学、精神性、神学的な観点も考慮に入れ、仏教の人物や、20世紀の著名なイエズス会司祭で作家のバーナード・ロナーガンについても考察する。ロナーガンは、人間の認識とは、経験、理解、判断、決定という要素が、固有の相互作用によって成り立っていると信じていた。
AI開発の中心地である都市で開講されているこの講義では、AIという技術を「救世主か破壊者か」「全面的に有益か有害か」の二者択一で捉えることはしない。また、AIを巡る近年の議論が「いつか人類の存在を脅かすかどうか」に集中しているなかでも、明確な答えを提示することはない。エバートによれば、重要なのはAIが提起する問いに対し、深く意図的に向き合い、葛藤することだという。
「共通の目標は、探求の扉を開き、学生たちに紹介して、ともに探るための多くの視点や枠組みを意図的に用意することだった」と彼は語る。「その大きな拠り所となっているのは、吟味された人生、および吟味された技術の利用という信念だ」としている。


