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AI

2026.10.07 14:00

オラクルFusion Clawの正体──「AI推論と実行を分離」し大量処理を低コスト化

IB Photography - stock.adobe.com

AIアプリケーション事業を専門業務へ広げる

オラクルにとって、AIが処理できる仕事を増やすことは、アプリケーション事業をさらに成長させる機会でもある。2027会計年度第1四半期に当たる2026年6~8月、Fusion Applicationsは前年同期比で14%成長した。クラウドアプリケーション全体の売上高は同10%増の42億ドル(約6594億円)、クラウドインフラストラクチャーは同121%増の74億ドル(約1兆1618億円)だった。

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オラクルのアプリケーション開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、クリス・レオーネは次のように説明した。

「Fusion Clawは、当社のエージェント型アプリケーションが事業成果に向けてすでに行っている仕事を土台に、その能力を、従来は人が当社システム外で行ってきた専門業務まで広げる」。

顧客は、オラクルのアプリケーションに組み込まれたAIの利用をすでに増やしている。2027会計年度第1四半期には、組み込みAIの利用量が前四半期比42%増え、本番環境で稼働するAIエージェントの処理量はほぼ倍増した。Fusion Clawの提供前の数字であるため、既存AI機能の利用拡大は示すが、Fusion Clawへの需要を示す数字ではない。

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オラクルは2026会計年度に設備投資へ557億ドル(約8兆7449億円)を投じた。追加投資を賄う資金調達の一環として、2027会計年度第1四半期には200億ドル(約3兆1400億円)の普通株を売却した。米国時間2026年9月24日には、米ニューメキシコ州のデータセンター「Project Jupiter」を巡って不可抗力条項の適用を通知し、その後オラクル株は下落した。

アプリケーション事業は、新たなデータセンターの稼働に大きく依存せず、AI関連事業を成長させられる別の経路になる。

元帳照合から人員配置まで、25種の新アプリケーション

Oracle Fusion Cloud Applicationsは、財務、人事、サプライチェーン、営業などを扱うオラクルのクラウド型業務アプリケーション群であり、企業の基幹データを正式な業務記録として保持するシステムでもある。2026年3月に導入されたエージェント型アプリケーションは、個別の操作ではなく、企業が求める業務上の成果を起点に仕事を組み立てる。

オラクルはFusion Clawを搭載した新アプリケーション25種を発表した。対象には元帳照合、人員配置、配送の統合、営業担当地域の成長計画などが含まれる。オラクルのエージェント型アプリケーションは全体で75種あり、顧客はOracle AI Agent Studioを使って独自のアプリケーションも構築できる。

レオーネは違いを示す例として、5つの病院全体で稼働率95%を目指す架空の病院管理者を挙げた。管理者は看護師の病院間での配置転換を認め、時間外勤務を25%まで許容するなどの条件を設定する。Fusion Clawは、その制約を守りながら人員配置計画を作成できる。

「以前なら、この問題を解くためにまったく新しいモジュールを構築する必要があった。Fusion Clawなら、適切な管理策を設定した上で問題を与え、顧客が求める成果に向けて処理させることができる。これまでとは異なる実行能力が得られる」。

オラクルは、条件が変われば計画を継続的に立て直す機能も掲げる。人員配置や物流などの業務計画を立てるソフトウェアは、複数の制約条件を満たしながら最適な案を選ぶ「制約付き最適化」をすでに行える。Fusion Clawが新たに狙うのは、計画を立てた後の仕事を、人が個別に進めなくてもどこまで自動実行できるかという部分だ。

2026年7月の開発者向け発表では、顧客側で別の実行環境を用意する必要はないとしていた。レオーネによると、Fusion ClawはOracle Cloud Infrastructure上のFusion Applications内で動作し、顧客が別の環境を構築しなくても、隔離された実行コンテナを追加できる。

次ページ > 成功した計画を再利用し、推論のやり直しを減らす

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