実践への示唆:友人や同僚と連絡を取り合おう。一緒にコーヒーを飲んだり会話を楽しんだりして、自ら交流の機会を作るとよい。
2. 友人関係を築き、維持する
つながりによって脳の健康を保つもう1つの方法は、友情を維持し育むことだ。友人との交流は、認知機能、記憶、処理速度、実行機能、そしてストレスや感情のコントロールと結びついているためである。
学術誌『eLife』に掲載された、1400人を6年間にわたり追跡した研究によると、社会的に孤立している人は、記憶、処理速度、実行機能などの認知機能が劣っていることが示された。こうした能力の低下は、海馬の体積減少や皮質厚の減少が原因であった。さらに、友人が3〜4人いる人と比較して、友人が1人しかいない人は、海馬が1年分老化するのと同等の影響を受けていた。
他者との強い絆も、脳の健康に影響を与える。学術誌『Brain Sciences』に掲載されたメタ解析によると、2000人以上を対象とした37件の研究を分析したところ、他者との愛着が強い人は、自律神経系や脳活動、生化学的変化への影響を通じて、ストレスが少なく、感情のコントロールが優れていることがわかった。また、『Social Cognitive and Affective Neuroscience(社会認知・感情神経科学)』に掲載された研究では、他者と安定したつながりを持つ人は、脅威に対する扁桃体の活性化が抑制され、ストレスや不安が軽減されることが示されている。
実践への示唆:意識して友人関係を築き、維持しよう。共通の関心や共有する価値観といった、友情の柱となる要素に基づいて友人を探すとよい。友人と時間を共にし、語り合い、耳を傾け、共感し合おう。
3. 社会的支援を育む
ソーシャルネットワークを築き、社会的支援を得ることも、認知症のリスク低下につながり、脳の健康を高める。
学術誌『Journal of Alzheimer's Disease』に掲載されたメタ解析では、230万人を対象とした33件の研究を分析した結果、ソーシャルネットワークが不十分な場合、認知症のリスクが59%上昇し、社会的支援が乏しい場合は28%上昇することが明らかになった。その一方で、10年間にわたる縦断研究では、社会的な関わりが多いほど、認知症のリスクが大幅に低下することが示されている。
さらに、学術誌『Nature』に掲載された、21件の縦断研究における60万人以上を対象としたメタ解析によると、孤独を感じている人は、認知症全般のリスクが31%高くなることがわかった。


