気候・環境

2026.10.06 14:15

日本の得意な「改善」が、世界のネイチャーポジティブを拡張する

インド・アッサム州。東ヒマラヤ・イニシアティブの活動地域の一つ。(C)Conservation International/photo by Ashutosh Kashyap

「点」ではなく「面」で考える

農場ひとつとっても、周囲の森林や水資源、土壌、地域社会の状態にも大きく左右される。同様に、水資源の安定供給も、一つの地点ではなく、流域全体の健全性に依存している。だからこそ、多くの環境課題は、個別あるいは小規模な保全活動だけでは解決が難しい。

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企業にとって、これは経営上の課題でもある。生産活動が個々の農場やプロジェクトを超えた生態系に支えられているとすれば、企業はそうした自然の基盤をどのように支えていくべきなのだろうか。

インドネシア・北スマトラ州のタパヌリ。森林、農地、地域社会が一つのランドスケープとしてつながる。(C) Conservation International/photo by Tory Read
インドネシア・北スマトラ州のタパヌリ。森林、農地、地域社会が一つのランドスケープとしてつながる。(C) Conservation International/photo by Tory Read

例えばランドスケープを考えるうえで、流域は最も分かりやすい単位の一つである。流域における水質や水の利用可能性、洪水や干ばつは、降雨量だけで決まるものではない。森林や農地、湿地、地域社会、そして同じ流域を共有する企業活動など、さまざまな要素が複雑に影響し合っている。

コカ・コーラにとって、水は製品や事業活動を支える不可欠な資源である。同時に、水は地域社会や生態系、そして原材料を支える農業サプライチェーンとも密接につながっている。

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同社は20年以上にわたり水源涵養(かんよう)に取り組んできた。現在は2035年までに、世界各地の200カ所以上の水リスクの高い地域で100%の水源涵養率を達成することを目指している。それは、個別の施設単位ではなく、優先流域や水ストレスの高い地域全体を対象に水リスクを管理しようとする考え方の広がりを示している。

米国The Cola-Cola Foundationでは、特定の地点での水資源保全にとどまらず、東ヒマラヤやアフリカのグレート・リンポポ流域といった広域な流域を対象とした取り組みも支援している。コンサベーション・インターナショナルをはじめとするパートナーが進めるこれらの生態系保全・再生プログラムは、森林や湿地の機能が、長期的な水資源の安定性を支える重要な基盤であるという考え方に基づいている。

協働によって成果を広げる

このような規模で成果を生み出すためには、企業だけでなく、政府、NGO、地域社会、そして開発パートナーとの新たな協働が欠かせない。

その一例が、UCCによるタンザニアでの取り組みである。世界のコーヒー需要は今後も拡大が見込まれる一方で、キリマンジャロ・コーヒーなどでも知られるタンザニアでは、ここ10年で単位面積あたりの収穫量が低下傾向にある。

UCCの取り組みでは、丸紅、農林水産省(MAFF)、国際農業開発基金(IFAD)をはじめとする開発パートナーが協業し、それぞれが持つコーヒーに関する知見、農家支援の仕組み、政策面での後押し、バリューチェーン開発の強みを持ち寄りながら、生計向上、生産性向上、そして長期的なレジリエンスの強化に取り組んでいる。目標は、3年間でコーヒー生産量を2倍にすることだ。

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文=アメリア・ジュール

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