新規事業

2026.10.06 15:15

「僕にはタイヤ騒音が音階にきこえる」。ブリヂストン研究職から『音楽』で目指す3兆円市場

現役ヴァイオリニスト起業家、Vireson(ヴィレゾン)土屋弘貴氏

狙う市場は3兆円規模?

──今後の成長に向けて、ターゲットとしている市場の規模感や、現在の資本の状況はいかがですか?

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土屋:市場規模については、研修市場と捉えると国内に約6000億円の企業研修市場(うちソフトスキル領域約3000億円)があります。もう一つの市場は創作活動の場としてのUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)市場です。こちらは約3兆円の規模があります。

──資金調達やIPOについての考えを教えてください。

土屋:現在は自己資本とデット(融資)を中心に手堅く運営していますが、今後の加速に向けて、VC(ベンチャー・キャピタル)やエンジェル投資家の方からも注目をいただいています。

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戦略的な外部資本調達も視野に入れていますが、開発を含めた起業運営においては、生成AIを全面的に活用して少人数でできるような組織を目指しています。人の面では、Viresonのサービスをより広く社会へ届けるための「営業」や「広報」ができる方を募集しています。

──Viresonのサービスを拡げるために今後、どのような企業とパートナーシップを結んでいきたいですか?

土屋:BtoB領域では、塗料を用いた研修を展開する関西ペイントブラーノ社とのアート研修連携をはじめ、研修のバリエーションを増やしたい企業との協業を進めています。研修面でのパートナーシップはコア事業の成長という意味でも重要だと思っています。事業の横の拡がりでは、学校教育向けの教材化や研修教材や仕組みのOEM提供も視野に入れています。全国展開に向けて「認定ファシリテーター講座」などをサポートをしていただけるパートナーもいいですね。

教育という点では、親子教育に関わるサービスの提供やパートナーシップにも取り組んでいきたいです。親と子で創作活動を行って、自分の中の可能性や世界の拡がりを体験する。素晴らしいことだと思います。

──最終的に、個人(カスタマー)に対してどのような価値を提供するのがゴールだと考えていますか?

土屋:私たちが最終的に変えたい、良くしたいと思っているのは「文化」そのものです。現代に生きる人々は、若年層に限らず、SNSの「いいね」や他者との比較に晒されやすい環境にいます。Viresonのサービスを通じて「他人の評価や反応を過剰に気にせず、自分の個性を素直に認識し、自分に自信を持てる世界」を作りたいと思っています。

絵や音楽を作ることで自分と向き合い、表現を通じて多くの人と繋がる時代を牽引していきたいですね。

取材後記

自分の会社のサービスについて話をはじめると止まらない人。一見、ヴァイオリンを弾く落ち着いた研究家・起業家といったイメージはインタビュー早々に覆された。嬉しそうに話す一方で、自身のサービスを広くリーチさせるための緻密な判断、そして、自身の大切にする哲学的なところを軸とした話の展開に、Viresonのサービスの価値と今後について、大きな期待を抱くインタビューであった。「絵×音楽×物語」の創作を通じて、自分の軸を取り戻すViresonの取り組みは、新たな社会の潮流として広がっていくのではなかろうか。

土屋弘貴(つちや・ひろたか)◎Vireson 代表取締役 / ヴァイオリニスト。慶應義塾大学理工学部卒業、慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、ブリヂストンに入社し、研究開発に従事。技術者としてのキャリアを積む一方で、プロのヴァイオリニストとして国内外で演奏活動を展開してきた異色の経歴を持つ。「表現と共鳴が日常の営みとして根づいた社会をつくる」というビジョンのもと、ブリヂストンを退職し、2025年にViresonを起業。創作プラットフォーム「POCOPLE」の提供や、絵・音楽・物語を組み合わせたイノベーティブな企業研修プログラムを展開している。

文=曽根康司

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