一見するとこの評価額は、先月上海市場に上場し、時価総額が一時660億ドル(約10.3兆円)に達したUnitree(宇樹科技)と比べて割安に思える。しかし、カンはこの見方には同意しないという。「プライベート・キャピタル市場には、ロボティクス領域に投資先を向け始めている資金が大量にある。技術が進歩し、開発が順調なペースで進み、大口契約を勝ち取り、汎用ロボットを実現できると人々に信じてもらえるなら、資金調達に困ることはない。SPAC合併を通じて上場しなければならないのには、何らかの理由があるのかもしれない」とカンは語った。
カンのロボティクスとフィジカルAI全般に対する見通しは非常に強気であり、特にヒューマノイド・ロボットに重点を置いている。将来的な市場規模について、「数十兆ドル規模に達するのは間違いない。これは冗談で言っているわけではない」と話す。
ヒューマノイド1台の金額を7年で償却し、3交代制で稼働させれば、およそ人間3人分の生産量を得られるため、「ヒューマノイドの労働力は年間5000~7000ドル(約79万円~110万円)程度になる」と彼は言う。その価格であれば、米国では採算が取れない多くの作業が採算の合うものになる。これこそが製造業回帰(リショアリング)論の核心であり、FCC(連邦通信委員会)が7月に更新した、海外製の新たなロボットの輸入を制限する対象リストが、見た目以上に重要な理由でもある。
カンは、ドローン規制が緩和されたのと同様に、FCCも時間の経過とともに規制を緩和すると予想している。「何らかの調整が行われるだろう」と彼は言う。
ヒューマノイド・ロボットの普及時期について、カンはどう見ているのだろうか。「ヒューマノイドの数は、2028年から2029年頃には数百万台規模に達し、2030年までには街中や多くの家庭で普通に見かける存在になっているだろう」と彼は語る。それは、わずか4年足らず先の話である。
ただし、そこには注意すべき点がある。「AIチャットボットであれば、簡単に100万個を稼働させることができるが、ロボットの場合はインフラの構築が必要だ。その整備は今まさに進んでいる。その上で実際にロボットを製造しなければならず、多少の時間がかかる」と彼は言う。
2026年上半期における世界のヒューマノイド出荷台数は、前年同期比で約300%増の3万台規模に達した。しかし、これまでで最大のIPOとなったUnitreeの株価は、上場初日の上昇分の半分以上を失っている。それでも、公募価格の約3倍の水準で取引されている。
市場は拡大しており、期待も高まっている。しかし、まだ実証すべきことは多い。


