あなたがそこらの多くの幹部だったら、ネットワーク作りの考えなど、はねつけるだろう。すべて揃った上で最後に、自分の既に希少な時間を割いて参加するリーダーシップ会議や仕事と関係ない昼食会のようなちょっとしたぜいたくに思えるかもしれない。
ただ私はもう一度考え直してと忠告する。成長している新興企業のトップとしての経験から、ネットワーク作り、つまりかつて誰かがハーバード・ビジネス・レビューで定義したように「支援、フィードバック、洞察、資源や情報を提供してくれる人脈を作る」ことは非常に重要だ。顧客基盤の構築から経営チームの編成まであらゆることに役立つ豊富な資源を与えてくれるからだ。
重要なのはネットワークを賢く構築することだ。これは以下の7つのシンプルな原則に従えばできる。
量ではなく質を追求する
ネットワーク作りを成功させるためにあらゆるイベントに出席したり、業界のあらゆる影響力を持つ人に会う必要はない。時間が限られており、そうしたくてもできないだろう。何人とつながり、どれくらいの時間こういった人々に費やしたかは関係なく、重要なのはこういったつながりの質だ。したがって誰とつながるかをどうやって決めるか?あるCEOが、たくさんの人を知っている数人に絞ることだと勧めてくれた。直接の関係が無くても自分の時間が許すより多くの人々とのネットワークを広げられる優れた方法だ。
会った人を憶える努力をする
デール・カーネギーはかつて言った。「人の名前はその人にとって、どんな言語でも最も優しく、最も大切な音だ」と。私は個人的に、ネットワーク作りにおける重罪の1つは既に会ったことのある人を忘れることだ。そしてもっと悪いのは、その人を間違った名前で憶えていること。私の偉大な友人でメンターのパイク・パワーズ氏は、会ったすべての人の名前とその人に関する個人的な情報を記憶する尋常でない能力を持つ。この技能のおかげでパワーズ氏は専門家の世界で最も愛すべきメンバーの1人になっている。同氏のような才能は皆が持っているわけではないが、相手を記憶することに役立つテクニックなら確かに探すことができる。そしてこの人にどこで会ったか思い出せない時は、次善策を行うこと。それは正直にどこであったか覚えていないと白状するが、再会できてとても嬉しいことを伝える。
自分自身であれ
他人に会う時にできる最も重要なことの1つに自分自身であるということが挙げられる。仕事の環境では、相手に自分自身についてどれくらい知らせるべきか、あるいは人々が期待する姿を見せるべきなのか不明な場合がある。ハーバード・ビジネス・レビューの記事で「どうやって自分らしくあるか、ただし注意深く」としてアドバイスを行っている。私は、自意識を持って一定の境界を超えないことは大切だと考える一方、自分自身でない性格を無理に押し出さないことも同様に重要だと思う。他者はその人の自然のキャラクターのニュアンスで相手を記憶する。
重要なソーシャルネットワークに時間を費やす
たくさんの人を知っている数人の人々を開拓することによって自分のビジネスネットワークが拡大することがソーシャルネットワーキングの原則だ。それがまた別の非常に役立つネットワーク作り資源となることもある。特にLinkedInは、ビジネス上のつながりを重視している。ただ努力も必要だ。ソーシャルメディアに時間を費やす癖を付け、戦略的なつながりを作ること。できれば、適切なコンテンツを共有ないし創って話し合いに積極的に参加すること。重要なのはそれに長時間費やすことではなく、一定の時間を定期的に費やすことだ。サインアップして何かが起きるのを待っているだけなら、失望するだけだ。
他者を助けるために自分のネットワークを勧める
自分のネットワーク内で誰かを助ける機会があったら、手を差し伸べ見返りは期待しないこと。それが紹介やその他の非物理的な貢献であっても、純粋にその人を助ける意図で行う。実際の事業取引外で、この因果応報通貨がいざ関係の構築となった時に大いに役立ち、いつ自分への助けとなって帰ってくるか分からない。ネットワーク作りの第一人者、アイヴァン・マイズナー氏は、自身がネットワーク切断と呼ぶ現象について話し、同氏が業界イベントで聴衆にこのイベントで何か販売することを期待しているかと尋ねるとその部屋の全員の手が挙がるが、何かを買うことを期待しているかと尋ねると誰の手も挙がらない状況を説明した。ただ、ネットワーク作りは相互協力関係だ。そして成果を得る前に、関係構築の種を蒔かなくてはならない。自分の事業の難題の解決を助けてくれる立場にある人々に会う時、どうやったらその人たちの難題解決を助けてあげられるか考えること。マイズナー氏が言うように、これは単にネットワーキングについてではなく、正しいネットワーク作りについて言えることだ。
小さな事が大きな意味を持つことを忘れない
時間が特に貴重なとき、イライラしていつもは持っている繊細さを忘れてしまうことは容易だ。しかし私を信じて欲しい、繊細さは大切だ。例えば、自分が業界のイベントで会話の真っ最中に、自分のレーダーで最も重要な可能性のある知り合いがちょうど部屋に入ってきたことを感知したとする。今の会話を切り上げたい誘惑にかられるかもしれないが、それはまずい。後になってつけが回ってくるかもしれない。世界的な法律事務所Dentons の事業開発部長ロリーン・ペンドルトン氏は、人はあなたが自分にどう接したか覚えていると改めて指摘する。それが誰であれ、その対話がその時いかに取るに足らないものに思えたとしても相手に丁寧な態度で接すること。
常に最後までフォローする
ビジネスのネットワーク作りにおいて、テニスと同じように、コンタクトを取った後に起こることはそのコンタクト自体と同じように大切だ。少なくとも1人の専門家によると、新しい人に会った後、次に連絡すると約束した場合は必ず72時間以内にその約束を果たすこと。その後連絡を取り合ってフォローし続けること。ソーシャルネットワーキングと同様、これに長時間費やす必要はないが、必ず何らかの時間は費やすこと。必要な場合はスケジュール帳に記載して必ず実行する。最悪の場合、大切に開拓してきた相手を失い、これまで投じた時間が無駄になる。
間違いなくネットワーク作りは非常に大切だ。ニュヨーク証券取引所のトム・ファーレイ社長をはじめ、大半の人はそれによって仕事を見つける。ファーレイ社長はこれまでの仕事は全部ネットワーク作りで得たものだという。そしてネットワーク作りで企業の幹部は情報や自分の事業を有利な状況に置くために必要な技能や能力を入手している。私は読者がネットワーク作りに時間を費やす価値があることに同意してくれると思う。そしてここに概要を示した原則がこの時間を賢く費やすことの手助けになれば嬉しい。