1日の時間が急に増えたわけではない。ただ、自分が組織に対して最も大きな価値を生み出しているのはどこなのかを、より明確に理解したのだ。その明確さによって、何に注意を向けるべきかの判断基準が変わり、重要性の極めて低い業務に消費されていた時間を取り戻すことができた。
もしあなたがナレッジワークに従事する働く親で、時間を取り戻したいと考えているなら、まず始めるべきは新たな生産性向上システムを導入することではない。仕事に対する考え方を次の3つへと転換することだ。
1. 自分がどのように価値を創造しているかを明確にする
最初のステップは、自分がどうやって価値を生み出しているかを理解することだ。
すべての業務が組織の業績に均等に貢献するわけではない。組織を維持するための業務もあれば、桁違いの価値を生み出す業務もある。営業職であれば、新規案件の獲得かもしれない。研究者であれば、重要な意思決定を方向付けるインサイトの創出かもしれない。非営利組織の幹部であれば、資金調達や戦略的パートナーシップの構築かもしれない。
厄介なのは、ナレッジワークにおいて価値が可視化されにくいという点だ。
職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)は責任範囲を示してくれるが、どの責任が最も重要であるかまでは教えてくれない。また、自分がどこで最大の価値を生み出しているかも示してくれない。それを知るには、自身の判断、上司や同僚との対話、そして自分の能力が組織の成功にどう貢献しているかについての明確な理解が必要となる。
その明確さが欠けていると、生じた空白に「緊急性」が入り込んでくる。
届いたメールに返信し、次の会議に出席し、次の書類に目を通し、目の前の依頼に対応する。どれも同じように重要に見えるからだ。そうして受動的な業務が肥大化する一方で、最も大きな価値を生む仕事は、夜間や週末、あるいは「時間があるとき」へと後回しにされていく。
問題は、ナレッジワーカーが勤勉に働いていないことではない。限られた集中力をどの業務に向けるべきかを判断するための、明確な決定基準を持っていないことにある。
自分がどこで最大の価値を生み出しているかが明確になればなるほど、最も重要な仕事のための時間を確保することが容易になる。
2. 高価値な業務により多くの時間を配分する
自分がどこで価値を生み出すかが明確になったら、次のステップはその業務により多くの時間を配分することだ。
私たちの多くは時間管理や生産性に関するトレーニングを受けてきたが、価値創造を中心に時間を組み立てる方法を学んだ人ははるかに少ない。
キャリアの初期、私はメールに縛られ、頻繁に会議に出席し、頻繁に出張をこなしていた。忙しくはあったが、そうした活動の多くは、新たなインサイトを公表したり、活動規模を拡大するための資金獲得につながるコンセプトを開発したり、といった組織にとって最も価値のある仕事を押し出していた。


