余白を持つことは、単に自由時間が増えることではなく、意識を集中させることを意味する。「余白モードは、前提を問い、アイデアを結びつけ、絶え間ないタスク処理が覆い隠してしまうものに気づくための余地を与えてくれる」とペイジは断言する。
やるべきことが多すぎるという重圧を、私たちは誰もが感じたことがある。このストレスを経験すると、注意は最も差し迫ったものへと狭まるとペイジ博士は言う。「本当の緊急事態では、それが有用な場合もある。しかしそれは、想像力、戦略的思考、複雑な問題解決を支える状態ではない」
「皮肉なことに、問題が複雑であればあるほど、私たちには余白が必要になる可能性が高い。にもかかわらず、複雑さはしばしば私たちを加速させ、利用可能なあらゆる時間を埋め尽くさせる」
反応的であることの危うさ
多くの職場では、反応的であることが評価される。しかし、そこには目に見えない代償が伴う。ペイジは、Microsoftの調査『2025 Work Trend Index』を引用する。同調査によると、従業員は勤務時間中に会議やメール、通知によっておよそ2分に1回、仕事を中断させられており、中断の数は1日あたり約275回に上る。世界の労働者の約80%が、仕事を完了するために必要な時間やエネルギーが足りないと回答した。
「これは単なる時間管理の問題ではない」とペイジは言う。「時間がたつにつれ、私たちの働き方は、注意の問題であると同時に神経系の問題も生み出してきた」
「中断が起きるたびに、脳は状況を把握し、評価し、反応することを求められる。それが繰り返されると、人々は1日の多くを低レベルの覚醒状態で過ごすことになりかねない。時間とともに疲弊し、感情的に反応しやすくなり、注意を持続させる力が低下する」
さらに懸念すべきは、こうした働き方の影響が長く残ることだ。ペイジは、グロリア・マーク(Gloria Mark)教授の研究に言及する。同研究では、人が1つのデジタル画面上のタスクを見続けてから別のアプリ、ウィンドウ、デバイスへ切り替えるまでの平均時間を追跡した。2004年の平均注意持続時間は2.5分だったが、2016年までに47秒にまで低下していた。
「時間とともに、こうした認知と神経系の変化の結果、人々は深く考えることが減り、反射的に行動することが増えてしまう」とペイジは説明する。「習慣、思い込み、最初に思いついた答えに頼る可能性が高まる。反応は素早くできるかもしれないが、それが必ずしも賢明だとは限らない。これはスピードを生み、そのスピードは有効性を装うことがある」
「しかし、迅速で断片的な意思決定をする人々で満ちた職場が、必ずしも生産的な職場であるとは限らない」


