NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、スウェーデンの加盟を「歴史的な日」として歓迎。米国のジョー・バイデン大統領も「スウェーデンを迎えることができて光栄だ」と述べ、NATOの大西洋を越えた安全保障が「かつてないほど強固なもの」になるとたたえた。
これにより、スウェーデンはNATO条約第5条に基づく安全保障を得ることになる。この条項では、加盟国が攻撃を受けた場合、他の加盟国は武力行使を含め「攻撃を受けた同盟国を支援するために必要と思われる行動を取らなければならない」と定められている。
スウェーデンは長年にわたり欧州外交では中立的な立場を取ってきたが、ロシアがウクライナ侵攻を開始した3カ月後の2022年5月、NATOへの加盟を申請した。スウェーデンとともに加盟を申請した隣国フィンランドは昨年4月、同機構への加盟を果たしていた。
スウェーデンの加盟交渉を長引かせてきたのは、既存加盟国のハンガリーとトルコだった。トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、同国がテロ組織と見なすクルド人武装組織に対してスウェーデンが寛容すぎるとして、加盟に反対。ところが昨年7月に行われたスウェーデンのウルフ・クリステション首相との協議を経て、トルコは今年1月、スウェーデンのNATO加盟を承認した。先月にはスウェーデンがハンガリーに戦闘機を売却すると表明したことから、ハンガリーも一転してスウェーデンの加盟を認めた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は先月末、ロシアによる侵攻を巡り、NATOはウクライナに部隊を派遣する可能性を排除していないと発言した。だが、この発言は他の加盟国からの反発を招き、ドイツのオラフ・ショルツ首相はNATO諸国からウクライナに「地上部隊を派遣することはない」と明言した。
マクロン大統領の発言を巡っては、NATOの拡大に反対してきたロシア政府も反応した。ロシア国営タス通信によると、同国大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は、NATOがウクライナに軍隊を派遣した場合、西側諸国とロシアとの衝突は「可能性ではなく、必然性の問題になる」と警告。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先に、米保守系FOXニュースの元司会者タッカー・カールソンとの対談で、NATOの拡大はロシアと西側諸国との間に「亀裂」を生じさせると語っていた。
(forbes.com 原文)