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2022.07.17 09:00

コロナ特需終了で「環境に優しいPC」に注力の台湾エイサー

Acer(Photo by Yuli Seperi / Getty Images)

世界シェア第5位のPCメーカーである台湾のエイサー(Acer)は、テレワーク需要の減少やサプライチェーンの混乱などにより、受注ペースが減少傾向にある。こうした問題に対処するため、同社の共同COOのJerry Kaoは、リサイクル素材を使用した、修理が容易なノートパソコンを販売するなど、環境に配慮した取組みを強化すると述べている。

Kaoによると、1〜3月の収益は比較的順調だったが、第2四半期に入ってPC需要の減退が明らかになったという。エイサーの第1四半期の連結売上高は、前年同期比9.5%増の26億ドルだった。同社は、第2四半期の業績をまだ公表していない。

「現在、PC需要は全てのセグメントで落ち込んでいる。第2四半期に入って、戦争や新型コロナの感染拡大など多くの問題が生じ、どのPCメーカーも苦戦していると思われる」とKaoは語る。PCの部品の一部は中国東部で製造されており、今年初めに深圳と上海がロックダウンされたことにより、調達に遅延が生じているという。

業界関係者やKaoは、2020年と2021年にはテレワークやオンライン学習の増加によってノートPCの需要が急増したが、現在は伸びが止まったと述べている。調査会社IDCによると、第1四半期には従来型PCの出荷台数が5.1%減少し、過去2年続いた2桁成長が終焉したという。

同社によると、ベンダーは今年1~3月に8000万台以上のPCを出荷したという。また、ウクライナでの戦争は、半導体の供給に支障をきたしている。なぜならば、ウクライナ企業2社が、チップの製造に用いられるレーザーを作っているからだ。

エイサーの生産拠点の多くが中国西部の重慶にあり、Kaoによると、同社は深センや上海のロックダウンの影響を免れることができたという。

IDCのデータによると、台北郊外に本拠を置く創業45年のエイサーは、第1四半期にPCの世界シェアで5位となった。1位はレノボで、2位以下はHP、デル、アップルと続いた。10年前、エイサーは競争環境が激化する中で経営陣が交代し、経営難に陥ったことがあったが、ChromebookやゲーミングPCの生産によって復活を果たした。

Kaoによると、同社は昨年、環境に優しい「Aspire Vero」シリーズをローンチし、類似製品を製造する競合他社に比べて相対的に有利な状況にあるという。Veroラップトップは、筐体とキーキャップに再生素材を使用しており、パッケージには再生紙を最大85%使用している。Aspire Veroシリーズは、ノートパソコン3機種やオールインワン、キーボードなどの周辺機器からスタートした。

Kaoによると、PCは分解や修理が簡単で、新品に買い換えなくても、修理して再利用することが可能だという。価格は、オンライン販売で600ドルからとなっている。

「ユニークな製品を求めるユーザーには、エイサーが最適だ。我々は、他社製品にはない競争優位性を磨くことに大半の時間を費やしている」とKaoは語った。

編集=上田裕資

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