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2017.04.07 07:30

日本長者番付クローズアップ パチンコ王・里見治が挑む大ばくち

セガサミーホールディングス・里見治 (Photo by Koichi Kamoshida / gettyimages)

パチンコ王で馬主の里見治が打った大ばくちが、ついに実を結ぶかもしれない。

今年の日本長者番付では資産額9億3000万ドル(約1030億円)で45位につけた里見。会長兼最高経営責任者(CEO)を務める遊技機・ゲーム大手のセガサミーホールディングスは今月、韓国のカジノ運営会社パラダイスグループと共同で、韓国初の統合型リゾート(IR)施設「パラダイスシティ」をソウル近郊の仁川国際空港そばにオープンする。

1兆3000億ウォン(約1300億円)をかけて誕生する同施設は、4月20日に開業予定。45%を出資しているセガサミーにとっては賭けだが、里見にはさらに大きな狙いがある。

日本では昨年12月、長年にわたって検討されてきたカジノ合法化に向けた法案がついに成立した。国内に誕生するカジノリゾートは、少なくとも一部が日本資本であることが義務化されるだろう。セガサミーは、既存のパチンコ事業に加え、新たに海外カジノ運営の経験を積んでおり、日本でもカジノ営業権獲得を目指すとみられる。

パチンコ業界のライバル企業ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長(日本長者番付18位)も同様の戦略を進める。20億ドル(約2200億円)を投じてフィリピンの首都マニラに建設した「オカダマニラ」は、カジノ、ホテル、オカダブランドのレストランなどが入る統合型リゾートで、昨年12月に仮オープンした。

パチンコ企業は、これまでの慣習を捨てる必要性に迫られている。パチンコ店で使われる金額は2005~15年の間に33%減少したとの推定もある。パチンコ人口は過去20年間で2900万人から1100万人に減った。里見は、2012年にセガサミーが行った宮崎県のフェニックス・シーガイア・リゾート買収がカジノを念頭に置いたものだったことを公言している。

パラダイスシティにとっての大きなハードルは、韓国以外のパスポート所有者しかカジノを利用できないことだ。とはいえ、韓国人はホテルやレストラン、ショップを利用するだろう。サラブレッド馬主としての里見の世界ランクは2015年末には50位だったが、レース選択の良さが奏功し、現在は6位にまで上昇している。

勝機が見えるのはまだ先だが、セガサミーは韓国でのレース、さらにはその先のレースでも勝ち馬となるかもしれない。

【日本長者番付】1〜50位ランキング一覧>>

編集=遠藤宗生

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