「物言う株主の存在は有益」、米取締役の8割が同意

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物言う株主の存在は企業にとって、有効なものだろうか?たとえその存在が招く結果が多少は気乗りしないものであっても、米国企業の80%は、そう考えているようだ。

PwC米国が10月11日に発表した報告書「PwC企業取締役調査(2016年)」によると、機関投資家や物言う株主の取締役会へのアクセスが増し、影響力も強まっていることから、取締役会にはますます注目が集まるようになっている。

「物言う株主は自社の戦略や執行、資本配分に関する評価の効率の向上に強い影響力を持っているか」という質問に対し、調査対象とした上場企業の取締役884人のうち80%が、「少なくともある程度はそう思う」と答えた。また、自社の経営と資本配分の改善につながったと答えた取締役も、同程度の割合に上った。

調査結果をまとめたPwCガバナンス・インサイト・センターのリーダー、ポーラ・ループは、「取締役会を中心とするモデルは、企業の不祥事が相次いだ1990年代に根付いたものだ。それがその後、投資家中心のモデルへと移行した」「その結果、投資家らの声は大きくなり続け、取締役会もそれを無視することはできなくなった。投資家らは取締役たちに対し、意思決定や業績に関するより大きな説明責任と、高い透明性を求めている」と説明している。

変化がみられない面も

だが、取締役会のその他の側面に関しては、変化は遅々として進んでいないようだ。多様性がもたらす恩恵については、取締役らの見解は依然として、性別によって大きく異なっている。

多様性が重要だという点では、ほぼ全員ともいえる96%が同意している。しかし、どれほど重要か、どれほど有用なものであるかについては、個人によって見方にばらつきがある。女性取締役の89%が、「多様性をより幅広く取り入れることが業績の改善につながる」と答えている一方で、同じ回答をした男性取締役は、24%にとどまっている。

さらに、女性の92%が「取締役会の多様性の向上はその有効性の向上につながる」と考えているものの、これに同意する男性は、38%となっている。これらの回答には、自己防衛本能が反映されているのだろうか?

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編集 = 木内涼子

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