欧州

2024.05.12 11:00

ロシア軍部隊、頼みの防衛手段は「散弾銃」ドローンに追い回される中

安井克至
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セミオート式の散弾銃ヴェープル12モロト(Shutterstock.com)

ロシアのある軍事ブロガーは1年前、怒涛の勢いで押し寄せるウクライナ軍の1人称視点(FPV)のドローン(無人機)への対抗策として、部隊にすぐさま散弾銃を配備することを勧めていた。ドローンが至る所にいる今、前線にいるロシア軍はジャマー(電波妨害装置)が役に立たないため、文字どおり「散弾」銃を欲しがっている。一方、ウクライナ側は自爆型のドローンに直面することはロシア軍よりはるかに少ないようだが、部隊に散弾銃を配備してドローン撃墜に役立てる方法を訓練している。

ドローン対策としての散弾銃

ロシア、ウクライナ両軍とも多くのジャマーを保有しているが、ドローン製造者は操作のための周波数を変え続けている。また、妨害されにくい無線を使ってもいるため、先週機能したジャマーが今週は機能しないかもしれず、そうなると地上の部隊は無防備な状態になる。ウクライナは現在多くのFPVを生産しており、ロシア軍の歩兵の小隊をすべて追い詰めてシラミ潰しにするだけの数を持っている。

退役大佐のアンドレイ・コシキンは先月ロシア紙レンタに、電子戦がうまくいかなくなったときには散弾銃が解決策になると語った。「ドローンを撃墜するには、機関銃よりも狩りで獲物を狙うのに使うようなシンプルな散弾銃の方が効果的だと言わざるを得ない」

ロシア軍はそのような武器を一部の部隊に支給している。ソーシャルメディアに最近、ドローンを撃墜したとされる同軍兵士2人の写真が投稿された。1人は地雷除去グループのカバー任務に、もう1人は短距離防空システムTOR(トール)の防御にあたっていたとの説明が添えられている。つまり、2人ともドローン対策専従で、役割は部隊を守るために散弾銃を手に空を監視することだ。

2人は口径12ゲージ、5発の連射ができるセミオート式の散弾銃「ヴェープル12モロト」を使っていた。ロシアは他にも散弾銃と自動小銃を合体させたようなものを兵士に持たせようと即席の解決策を模索している。例えば、ある映像ではドローン対策として、アンダーバレル式の擲弾発射機「GP-25」を散弾銃のカートリッジを発射できるよう改造する方法を紹介している。

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翻訳=溝口慈子

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