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2024.05.10 13:00

SNSで子育てを共有する「シェアレンティング」、現役から聞く3つの利点

木村拓哉
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Getty Images

「シェアレンティング」とは、シェア(投稿の共有)とペアレンティング(育児)を組み合わせた造語で、親が、子育ての体験談やわが子の写真・情報をソーシャルメディアに投稿する行為だ。

当然のことながら、こうした言葉には否定的な意味合いがある。米ミシガン大学ヘルスシステムC.S.モット小児病院が2023年に実施した『子どもの健康に関する全国調査』では、「ソーシャルメディアへの投稿について憂慮していることが少なくとも1つある」と回答した親は72%に上った。例えば、子どもによる不健全あるいは危険な行為、個人情報の公開、オーバーシェアリング(個人情報を過度に共有すること)、恥ずべきコンテンツや不適切なコンテンツの共有などが懸念されている。

そうした懸念があるにもかかわらず、シェアレンティングは、1人目を出産した母親やシングルファーザー、障害をもつ子どもの親などを含む、ありとあらゆるタイプの親に人気がある。そうなると問題は、これほど人気のあるシェアレンティングで、親たちはどのようなメリットを得ているのか、ということだ。

そこで、ソーシャルメディアを利用することが、子育てに付加価値と活力をもたらし得る理由を3つ説明しよう。

1. さまざまな視点や方法の共有

シェアレンティングによって、親たちは、自分が直面する育児の悩みについて、さまざまな視点や方法を共有することができる。他の親が信頼を置く新たな育児法を知ったり、試したりするきっかけができる。

2019年に発表された研究では、母親たちがソーシャルメディアで異なる観点を得たり、関連情報を集めたりできることを評価していることが明らかになった。

この研究に参加したある母親は、「子どもの行動の変化や成長段階について疑問があれば、インターネットの育児サイトをいくつか読む。自分の親などの年長者は、育児の経験について忘れているかもしれない、と思うからだ」と述べている。

冒頭で紹介した子どもの健康に関する全国調査でも明らかになっているが、親がソーシャルメディアを頼りにする最大の理由は、試せるアイデアや方法を見つけられるからだ。興味深いことに、4人に1人の親は、ソーシャルメディアに向かう理由として、「自分の親とは違う育児法を望んでいるから」と回答したという。つまりソーシャルメディアは、親が育児スキルを向上させるためにインスピレーションを得たり、ときには建設的なフィードバックを受けたりする場なのだ。

2. コミュニティを育むことができる

多くの人にとって育児は、孤立した状態で、予期せぬ紆余曲折がずっと続く、終わりがないように見える体験になり得る。親は始終、育児を巡る決断に思い悩み、ひっきりなしの雑用で途方に暮れ、子どもをもつ前の自身の社会的役割や交友関係から切り離されていることに気がつく。

そういう点で、シェアレンティングは役に立つ。他の親と交流したり、同じく育児中の人と仲間意識を育んだりできるからだ。子どもの健康に関する全国調査では、「シェアレンティングに夢中になっているのは、自分は一人ではないと思えるから」と回答した人は37%に上った。

前述した2019年の研究でも、多くの母親がソーシャルメディアのフォーラムで、他の母親と知り合ったり体験を共有したりしていると述べている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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