アート

2024.05.03 13:00

20世紀を代表する画家ダリと「会話できる」美術館が話題に

Salvador Dali reading his biography, 6 May, 1959. (Photo by Daily Herald Archive/SSPL/Getty Images)

米フロリダ州のサルバドール・ダリ美術館を訪れる人々は、「あなたの最高傑作は?」「あなたは何座ですか?」「その口ひげはどうなってるの?」と、スペインが生んだシュールレアリスム(超現実主義)の芸術家に様々な質問を投げかけている。回答するのは、彼のアイデアや想像力、ユーモアを捉えた文章やインタビューのデータセットを使って訓練された人工知能(AI)モデルだ。

人々は、ダリの代表作の1つである『ロブスター電話』にインスパイアされた電話を手に取り、AIダリと会話することができる。この電話は、通信機器とプラスチック製の甲殻類という2つの異質なアイテムを組み合わせ、ダリならではの手法によって奇妙で新しい現実を作り出している。このレプリカは、フロリダ州セント・ピーターズバーグの博物館に展示されている本物のロブスター電話のすぐ近くに設置されている。

AIダリは、歴史上の人物をAIで蘇らせた最新の事例だ。パリのオルセー美術館では、AIを搭載したインタラクティブなフィンセント・ファン・ゴッホと会話をすることができる。また、ニューオーリンズにある国立第二次世界大戦博物館では、バーチャルな退役軍人たちが自分たちの戦争体験を語っている。

4月11日にオープンしたAsk Dalí(ダリに聞け)は、他のインタラクティブ体験のように等身大のデジタル・ドッペルゲンガーが登場するわけではなく、マイクを取り付けたロブスター電話を通してダリの声が聞こえてくるだけだ。回答は、モニター上でダリの特徴である長く曲がりくねった髭にインスパイアされたグラフィックの下にクローズド・キャプションで表示される。

歴史上の人物が最新テクノロジーで蘇るのはよく見られるようになったが、死後35年経った2024年に一般人と会話していることに、ダリはまだ少し戸惑っているようだ。

「私をどのようにしてここに連れてきたのかは、私の理解を遥かに超えている。分かっているのは、大規模言語モデル(LLM)と呼ばれるものを使って私の声を再現したということだけだ」と、AIダリはインタラクティブ体験のティザー動画で語っている。
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編集=上田裕資

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