2024.04.21 08:00

欧州のデジタルノマドビザ、難易度で各国を比較 イタリアも参入

安井克至
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そのほか、イタリア国内での滞在先の確保や医療保険への加入も必要だ。医療保険には個人で加入するほか、保険料年間2000ユーロ(約33万円)の同国の国民健康保険に加入する方法もある。家族の同伴も可能とされているが、判断は地元警察に委ねられている。過去5年間に刑法上の罪で有罪判決を受けている場合は、申請することができない。

申請は、入国前に居住国のイタリア大使館で行う。ビザの有効期限は1年間だが、入国後に更新できる可能性もある。イタリア入国後8日以内に滞在許可を申請しなければならないほか、自営業者は同国の付加価値税(VAT)番号を取得し、税金の納付方法についても把握しておく必要がある。

英誌タイムアウトは、デジタルノマドビザ取得の難易度を基に、EU諸国を格付けした。それによると、申請手続きの容易さで、ルーマニアが1位に選ばれた。同国のデジタルノマドビザはオンラインで申請することができ、当局から回答が届くまでわずか2週間という速さだ。ただし最低3700ユーロ(約61万円)の月収が求められる。

2位はクロアチアで、基準となる最低月収は2539ユーロ(約42万円)。申請時に滞在先も確保しておく必要がある。ランキングの中ほどに位置するスペインは、居住国のスペイン大使館に直接出向いて申請する必要があり、返事を待つのに15~45日程度かかるが、必要な最低月収は2140ユーロ(約35万円)と比較的低い。

地中海に浮かぶ島キプロスは、デジタルノマドビザの取得が最も困難な国の1つだ。求められる最低月収は3500ユーロ(約58万円)で、B型肝炎、C型肝炎、結核、エイズウイルス(HIV)に感染していないことを示す血液検査と胸部X線検査結果の提出も必要だ。申請は同国に入国してから行う。

アンドラ、モンテネグロ、ラトビアも間もなく同様の制度を開始する予定だ。ドイツにはデジタルノマドビザ制度はないが、フリーランスビザ制度がある。有効期限は3カ月で、条件が整えば3年間の滞在許可を得ることができる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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