アート

2024.04.27 14:00

「美術史を変えた」印象派の誕生から150年を祝う展覧会、米仏で開催

鈴木 奈央
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歴史に残る「失敗」

印象派の誕生を記念するオルセー美術館とナショナル・ギャラリー・オブ・アートでの展覧会は、30人近い若手の画家たちがいかに集まり、独自の展覧会の開催を実現したか、それを伝えるものだ(後に「印象派の画家」と呼ばれるようになったのは、このうちわずか7人)。

自律性を切望したモネ、モリゾ、ピサロ、そしてエドガー・ドガなどの画家たちは、自分たちをほぼ拒絶してきたアカデミーのシステムに異論を唱え、自由を主張するため、「芸術家の共同出資会社」を設立し、展覧会を開催することに決めた。

独仏戦争でのプロイセンへの敗北とパリ・コミューンの成立・崩壊を経験した当時のフランスで、画家たちは自らの芸術を見直すとともに、新たな方向性を模索していた。そして、政治、経済、社会のすべてが激変する時代に印象派の画家たちが提供した芸術は、「現代性」と調和するものだった。「見たものを見たままに」描く彼らの画法はいまも、見る者に驚きと喜び、そして当惑さえも、与え続けている。

第1回印象派展は、「成功」ではなかった。来場者は3500人程度、批評家たちの反応も否定的で、買い手が付いた作品はごくわずかだった。負債を抱えた共同出資会社は展覧会後、解散せざるを得なかった。

だが、時を超え、いまも生き残っているのは、サロンではない──新進気鋭の画家たちが美術史を根本から変えることになり、サロンが忘れ去られることになると想像した人は当時、ほとんどいなかっただろう。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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