事業継承

2024.04.22 12:00

組織変革から地域共創型まで。新しい事業承継100社(後編)

Forbes JAPAN編集部
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玉子屋 業務改善|アイディア

代表者|菅原勇一郎 設立年|1975年
銀行員を経て、従業員3人のマーケティング会社で働いていた頃、玉子屋の父親が2年半の間、毎日、玉子屋の弁当を息子と社員たちに届けた。そこで女性が喜ぶメニューがないことやデリバリーが頻繁に変わることに着眼。さらに決算書から伸びしろを見いだし、2004年に代表権を継承した。就任時、一日2万食だったが現在6万食以上に増やした。

ジャパネットホールディングス 組織改革|業務改善

代表者|髙田旭人 設立年|2007年
テレビ通販番組で有名な「ジャパネットたかた」2代目社長は離職率が高かったコールセンターや物流センターによる仕組みを改善。「脱カリスマ経営」で社員一人ひとりが自分で考える組織に。経営方針をめぐっては親子で衝突することが多く、2015年に社長を交代すると、先代は会長職につかず引退。組織改革によって21年には過去最高売上に。

CATEGORY 04|組織を変える

製造現場で脱炭素やDXが求められるなか、事業承継をきっかけに旧来の産業や組織のあり方の変革に挑む経営者たち。地方にありながら多様な人材確保につなげる企業もある。

三井松島ホールディングス 業態転換|M&A

代表者|吉岡泰士 設立年|1913年
創業以来110年にわたって展開した石炭事業を前社長の時に撤退すると決意。2013年にM&Aアドバイザーを社長として迎え入れ、ストローや紳士服メーカーなど異業種のM&Aを敢行。他にもニッチグループ化した事業は、電子部品、事務機器、ペットフードなど多領域にわたる。現在は、M&Aによる事業承継を事業にしている。

三菱鉛筆 新規事業|組織改革

代表者|数原滋彦 設立年|1925年
鉛筆やボールペン、マーカーなどのロングセラー商品が多数。野村総研を経て2005年に家業へ。20年のコロナ禍に社長就任。文房具需要が落ち込むなか、新規事業チームを結成。オンラインレッスンと筆記具販売を合体させたサービス「ラキット」を生み出した。22年、三菱鉛筆は過去最高を更新する約690億円の売上げをたたき出した。

京葉エナジー 新規事業|組織改革

代表者|岩﨑剛士 設立年|1994年
29歳の時に家業の廃棄物の収集・中間処理業に入社。平均年齢が高く、モチベーションが低い職場だったことから、新規事業を立ち上げる。回収していた古紙をSDGsの観点からプレスする事業と、回収を清掃にまで広げたラグジュアリーホテル対象の館内清掃業である。今では社員たちが提案して、再生資源を利用した製品もつくる。

ヨシオ工業 リスキリング|組織改革

代表者|徳野新太郎 設立年|1961年
2021年、新太郎氏がラジアルボール盤の国内トップシェアをもつ金属加工業の家業を事業承継。既存社員のリスキリングを推進してデジタル人材を育成し、デジタル技術を活用した工程の効率化など自社のものづくり改革を行う。また、新太郎氏は複数スタートアップを立ち上げ、コワーキングスペースや求人情報メディア「イシカワズカン」を運営する。

西川コミュニケーションズ 第二創業 業態転換|リスキリング

代表者|西川栄一 設立年|1949年
電話帳など紙媒体の印刷事業として創業するも、近年のデジタル化、ペーパーレス化の影響により、デジタル分野を中心とする事業構造への転換を決意。社長自らが先頭に立ち、組織全体でリスキリングに取り組み、AIソリューションの提供や3DCGを使ったビジュアル制作など、人材育成とともに新しいビジネスへの転換に成功した。

ミナミホールディングス ブランディング|ビジョナリー

代表者|江上喜朗 設立年|1962年
旧来の自動車教習学校のイメージを一新するべく、現社長自らが全身タイツを纏い、ヒーローに扮して自社の広報活動を開始。「ついていけない」と約半数の古参従業員が会社を去るも、新たに採用した若手社員を中心に新たな教習コンテンツの提供やコンサルティング、AI教習、海外などの事業を展開し、業績のV字回復を果たす。

松尾製作所 新規事業|人材採用

代表者|松尾基 設立年|1959年
愛知県の自動車部品メーカー3代目の松尾基氏が、便利グッズの製造やEV事業などの新規軸を開拓。自社のwebサイトをイラストを中心とするビジュアルに一新したり、自社のアニメキャラクターを作ってSNSで情報発信を行うなど、製造業界ではめずらしいエンタメ性の高いアピールで採用に成功している。

大和合金 新規事業|人材採用

代表者|萩野源次郎 設立年|1943年
祖父が興した特殊銅合金の会社で、研究開発から溶解、鍛造、加工、検査を行う。「世界が買い求めに来る唯一無二の製品をつくる」ことを使命とし、航空機産業などで販路を拡大。さらに国際的な核融合プロジェクト「ITER」の融合炉で使用される快挙を勝ち得た。大企業や海外からの転職組が多く、人材難の時代に人材獲得で成果を見せている。
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この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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