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2024.04.09 11:30

2024年、AIで財産を築いたビリオネアたち

安井克至
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非公開企業の主な資金調達源は、AI競争に勝ち残りたいマイクロソフト、アマゾン、アルファベットといった既存IT大手である。今のところAIバブルが弾けたり資金が枯渇したりする兆しはないが、少しずつほころびも見え始めている。富豪の投資家リード・ホフマンが共同創業したInflection AI(インフレクションAI)はチャットボット「Pi」への注力をやめ、他2人の共同創業者と研究チームは今年3月、マイクロソフトが新設するAI部門に移った。

AI関連企業の新たなビリオネアたちを紹介しよう。(純資産額は2024年3月8日現在)

1. チャールズ・リャン(梁見後、米国)/61億ドル(約9200億円)

スーパー・マイクロ・コンピュータ共同創業者のチャールズ・リャンCEO(Walid Berrazeg/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

スーパー・マイクロ・コンピュータ共同創業者のチャールズ・リャンCEO(Walid Berrazeg/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

1993年に共同創業したスーパー・マイクロ・コンピュータのサーバーやストレージシステムへの需要が、AI・クラウドコンピューティング企業の間で高まっている。昨年度の売上高は70億ドル(約1兆円)と過去最高で、株価は直近1年間で1100%超上昇した。妻サラ・リウは同社上級副社長で、同じく新たにビリオネアの仲間入りを果たした。

2. 郭東信(クァク・ドンシン、韓国)/29億ドル(約4400億円)

1980年に父親が設立した半導体製造装置メーカー、ハンミ半導体を経営。同社はチップ製造の最終工程に欠かせない半導体パッケージ装置を製造しており、サムスン電子やSKハイニックスを主要顧客に抱える。この1年間で株価を560%以上伸ばした。

3. 佐上峻作(日本)/19億ドル(約2900億円)

M&A総合研究所を設立し、AIを活用して、後継者問題に悩んだり現金化を検討したりしている中小企業のM&A仲介事業を手掛けている。同社は2022年に東京証券取引所に上場した。33歳。

4. アイバン・ザオ(米国)/15億ドル(約2300億円)

Notionの共同創業者・CEO。2015年に全従業員を解雇してサンフランシスコのオフィスをまた貸しし、共同創業者のサイモン・ラストとともに京都で暮らした経験がある。同社は現在AIに全力を注いでおり、推定売上高2億5000万ドル(約380億円)に対し、市場価格に基づく評価額は約50億ドル(約7600億円)に上る。

5. ブレット・アドコック(米国)/14億ドル(約2100億円)

AIロボット企業フィギュア創業者のブレット・アドコックCEO(Brett Adcock/https://www.brettadcock.com/contact via Wikimedia)

AIロボット企業フィギュア創業者のブレット・アドコックCEO(Brett Adcock via Wikimedia

2022年にフィギュアを立ち上げ、AIを搭載した汎用人型ロボットの労働力としての実用化を目指している。今年2月にはジェフ・ベゾス、マイクロソフト、エヌビディア、OpenAIなどから6億7500万ドル(約1000億円)を調達し、同社の評価額は26億ドル(約3900億円)となった。37歳のアドコックは同社株の推定50%を保有する。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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