2024.04.03 12:30

EVになったクラシックな「ミニ」は完璧な街乗りクルマ ただし買えるなら

全体的な印象は愛情を込めて作り直されたクラシック・ミニの再生産車だが、現代的な快適性も備わっている。運転するとオリジナルのミニと同様のゴーカートのようなハンドリングが感じられるが、スピードに対する潜在的な能力ははるかに高い。しかし、今回の試乗ではロンドンの街中を走り回っただけなので、残念ながらこのミニeマスタードが持つ性能を限界まで引き出すことはできなかった。

実際、ロンドン市街地のほとんどは制限速度が20マイル(約32km/h)に設定されており、30マイル(約48km/h)まで出せる区間はわずかだった。また、私は最近、金塊を盗んだ覚えもないので、映画『ミニミニ大作戦(原題:The Italian Job)』のようにパトカーから逃げるための運転をする必要もなかった。とはいえ、今回のようにゆったりとしたペースでも、ミニeマスタードは状況をわきまえた楽しさに溢れていた。

動力性能はオリジナル・ミニのすべてのモデルを凌ぐ

動力性能はオリジナル・ミニのすべてのモデルを凌ぐ

英Zonic motors(ゾニック・モーターズ)製のモーターは最高出力72kW(98ps)と最大トルク175Nmを発生し、前輪を駆動する。比較のために挙げると、クラシック・ミニの直列4気筒エンジンは最終型でも最高出力62ps、最大トルク94Nmだった。デビッド・ブラウン・オートモーティブの「ミニ・リマスタード(今回紹介しているeマスタードのエンジン版)」では71hp(72ps)にチューンされている。

eマスタードはEVならではの瞬時に発生するトルクを活かし、これまで生産されたどのクラシック・ミニよりもはるかに力強く加速する。クラシック・ミニで最強と謳われた1275ccエンジン搭載の「クーパーS」でも0-60mph加速は11.2秒だが(850ccの最初期のモデルは延々と24.9秒もかかった)、eマスタードは8.5秒で62mph(約100km/h)に達する。現代のEVの基準から見たらものすごく速いというわけではない。しかし、交通の流れが遅い市街地では驚くほど活発に感じられる。信号待ちからのダッシュでは多くのクルマを楽々と置き去りにできるだろう。
英ゾニック・モーターズ製モーターは1275ccエンジンを凌ぐ(David Brown Automotive)

英ゾニック・モーターズ製モーターは1275ccエンジンを凌ぐ(David Brown Automotive)

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翻訳=日下部博一

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